新興通信事業者のアッカ・ネットワークスは、自社のADSL(非対称デジタル加入者線)回線を使ったASP(アプリケーション・サービス・プロバイダ)サービスを、相次いでスタートさせる。第1段のサービスとなるのは、温度や湿度、電力などのセンサー監視サービスで、来年春にもサービスを始める計画だ。サービスを支えるITインフラは、日本ユニシスや日本BEAシステムズの協力を得て構築。また、事業化に当たってはソリューションプロバイダを販売パートナーに募って、顧客への浸透を図る考えだ。

 アッカが商用化するのは、温度や湿度、ガス圧、電力、漏電、水量などの各種センサーの情報を収集し、そのデータを監視したり処理したりする「センサーコラボレーションシステム」。顧客の拠点に、センサーとその情報をイーサネットに変換する「デバイスサーバー」を備えれば、パソコンへの信号発信や携帯電話へのメールなどで異常値を知らせたり、収集した情報を伝送したりできる。工場や冷凍庫などの食品物流、店舗、農業などでの利用を見込んでいる。
 
 例えば、食品業界では標準的な衛生管理の手法「HACCP」などへの対応から温度管理などのニーズが高い。このため中小企業を中心に、初期導入コストが安価なASPサービスへのニーズが高いと見ている。11月から、ある食品会社と実証実験に取り組み、来春にも商用化に移行させる計画。

 アッカは、センサーコラボレーションに加えて、RFID(無線ICタグ)向けのASPサービスの実用化も目指している。オフィスに置いたリーダーとネットワークを介して、リモート環境でRFIDアプリケーションを提供するもので、8月から日本ユニシスや日本BEAシステムズとオフィス環境での実証実験を実施中だ。センサーやRFIDの他にも、各種ASPサービスを検討中で、ADSL回線を介して機器向けの通信環境とアプリケーションをセットで提供する「M2M」(マシン・ツー・マシン)事業の立ち上げに注力する。

 ITインフラは、デバイスからの情報を処理・管理するミドルウエアに日本ユニシスの「Information Wharf」を、アプリケーションの稼働環境に日本BEAシステムズの「WebLogic Platform」を採用し、自社のIP網と組み合わせて構築した。アッカではこのITインフラを「ユビキタスプラットフォーム」と呼び、今後投入する各種ASPサービスで共用していく。

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