ウィルコムは10月19日,来年度をメドにカバーエリアを大幅拡大する考えを明らかにした。基地局の増設に加え,変調方式やアンテナなどに新しい技術を採用して1基地局がカバーできる範囲を携帯電話並みに拡張する。

 同社はここ最近,月間純増数が6~8万と好調を維持。さらに相次いで端末ラインナップを拡充するなど,攻めの姿勢が目立つ。しかし携帯電話事業者と比べると,カバーエリアの狭さが事業拡大のネックになっている。「新規契約者のおよそ半分は2台目の端末として契約している」(八剱洋一郎社長)。携帯電話を1台目に持ち,2台目にウィルコムのPHS端末を購入するという「2台目戦略」を強いられているのが現状だ。

 今年度中には人口カバー率を99%まで引き上げる予定だが,「それでも十分とは考えていない」(八剱社長)として,さらなる拡大を目指す。「人口カバー率を100%近くまで引き上げたうえ,(人口カバー率算出の基準となる)市町村役場の周辺以外でも,十分に使える広いカバーエリアを目指す」(同)。

 基地局のカバー範囲は,ファームウエアの更新で拡大できる見込み。「来年早々には実現したい」(黒澤泉プロダクト統括副本部長)。ただし端末のファームウエア更新が必要なことも考えられるため,現ユーザーへの具体的な対応などは検討中としている。