総務大臣の諮問機関である情報通信審議会(情通審)は10月18日,固定電話を全国あまねく提供するための制度「ユニバーサル・サービス」について話し合う委員会会合を開催。昨年末から長期間にわたり議論した制度案が固まった。2006年度に導入し,2~3年後をメドに見直すことが明記されている。

 今回の会合は約20分で終了。答申案である「ユニバーサルサービス基金制度の在り方」の冊子が配布された。この案を基に総務省側が10月25日の電気通信事業部会で,ユニバーサル・サービスについての答申を受ける。

 総務省は答申を基に,関係する法令である総務省令の改正案の検討を始める。総務省令の案は12月の電気通信事業部会に諮問。一般への意見募集や同部会からの答申を経て,2006年4月に施行する見通し。

 現在もユニバーサル・サービスの制度は存在するものの,提供義務を負っている事業者である東西NTT側に基金が補填されにくい仕組みとなっている。今回の答申では高コスト地域の電話回線を計算式で特定。基金が必ず支払われる制度に改める。

 委員会の推計では,2006年度の基金額が110~170億円,2008年度は280~380億円になる見通し。基金額は電話基本料見直しの影響で上がっていく。

 基金は東西NTTも含めた通信事業者が,ユーザーに提供中の電話番号数の割合で負担する。現在利用されている電話番号は約1億6000万。つまり1番号当たり年間70~100円程度の負担となる見通し。ただし,直接負担するのは事業者。それをユーザーに転嫁するかどうかは事業者の判断に任される。

(市嶋 洋平=日経コミュニケーション