マイクロソフトは10月17日、企業のソフトウエア資産管理を支援するためのキャンペーンを期間限定で実施することを発表した。同キャンペーンでは、ソフト資産管理の専門家である「ソフトウェア資産管理アドバイザー」をマイクロソフトがユーザー企業に派遣し、ソフト資産の実態を調査する。その上で、ソフト資産管理台帳の作成や管理体制/方針作り、効率的な調達方法といったソフト資産管理全般に関するコンサルティング・サービスを提供する。

 キャンペーンの対象は、従業員数500人から1000人規模の中堅企業。このクラスの企業は、マイクロソフトや他のITベンダーが専任の営業担当者を割り当てておらず、ソフトの調達やライセンス管理といったソフト資産管理の体制が不十分だと判断した。ただし、今回のキャンペーンが対象とするのは、マイクロソフト製品のみである。

 このキャンペーンの特徴は、仮に必要なライセンスを購入しないまま同社製品を利用していても、不足しているライセンスを購入することを条件に、それまでの「違反行為」を免責することだ。同社でライセンスのマーケティングを担当する石澤一良ゼネラルビジネス本部IT推進統括部長は、「当社の製品を売り込んだり、違反行為を摘発するのが目的ではない。あくまでライセンスを適正に利用してもらうためのものだ」と強調する。

 マイクロソフトが企業向けに実施したソフト資産管理に関するアンケートでは、「無償なら受けたい」と答えた企業が6割強、「有償でもいい」という企業も2割に上ったという。「悪質な違法コピーをする企業は、確実に減った。一方で、ソフト資産やライセンスを適正に管理したいが、具体的なノウハウをもたない企業は多い。これらの企業が、今回のキャンペーンの対象だ」(石澤統括部長)。

 ライセンス違反を免責することにしたのは、「ソフト資産管理のコンサルティングを願い出る企業の心理的な壁を取り払うためだ」と、石澤統括部長は話す。単に違反を指摘するより、「適正にライセンスを購入・管理してもらえるようにしたほうが、長い目で見て業界全体に効果的と判断した」(同)。

 ただし、同キャンペーンを申し込むには、ACCS(コンピュータソフトウェア著作権協会)やBSA(ビジネス ソフトウェア アライアンス)といった著作権保護団体から、ソフトの不正使用に関する指摘を受けていないことが条件となる。「悪質な違法行為までも見逃すわけではない」(石澤統括部長)からだ。

 サービスの申し込み受付は11月1日から11月30日まで。サービスの実施期間は12月1日から、2006年2月28日まで。今回のキャンペーンは期間限定だが、「顧客の反響がよければ、継続することも検討する」(石澤統括部長)。