NTTファシリティーズはデータ・センターなどユーザーが重要拠点に置くコンピュータの電源に,バッテリーの方式である直流型を推進している。商用電源として一般的な交流型よりも,信頼性や効率が高いからだという。同社の池辺裕昭常務取締役に直流電源システムの動向について聞いた。(聞き手は市嶋 洋平=日経コミュニケーション)
--直流の電源システムの導入を推進する理由は。
NTTグループの通信設備で実際に直流の電源システムを使っているが,信頼性と効率がともに高い。通信の世界では100年前から電源システムは直流。これをデータ・センターなどで運用する重要なコンピュータやネットワーク機器でも使ってもらいたい。
コンピュータでは直流の電源システムがここ2~3年で使われるようになってきており,昨年から認知度も上がり始めている。
--直流電源システムの信頼性や効率はどの程度高いのか。
交流型で2重化するのと,直流型の単一で電源システムの信頼性がほぼ同じというくらいだ。
具体的には,サービスを提供する際の目標として掲げている故障時間で,交流型の電源システムが2年で4分間。これに対して直流型は20年で5分間。1ケタ違う。実際に,当社で運用している結果で見れば,直流型の方が2ケタいいというデータもある。
効率については2割いい。例えば,交流型で20キロ・ワットの電源が必要な場合でも,直流型は16キロ・ワット。電気代が2割安くなる。そして,発熱が少ないので,サーバー・ルーム内の空調システムの数や消費電力も少なくて済む。
--なぜ,そのように信頼性や効率が上がるのか。
直流型の方が,バックアップ用やコンピュータを含めた電源システム全体の構成がシンプルになるからだ。
例えば,交流の電源システムの場合,無停電電源装置(UPS)の中でいったん直流に変換して,これをもう一度交流に変換している。バッテリが直流だからだ。そして,コンピュータの電源で交流を直流に変換して,内部の回路に供給している。つまり直流-交流の変換が3回も繰り返されるのだ。
一方の直流電源システムでは,最初に交流電源を直流電源に1回変換。そこから,バッテリーやコンピュータにつなぐだけで済む。
--直流電源を採用するにはどうすればいいのか。
大きく分けて二つある。一つは直流の電源システムを導入すること。交流電源における無停電電源システム(UPS)と思ってもらえばいい。バックアップ用のバッテリーを内蔵している。
もう一つはコンピュータや通信機器を直流型にしてもらうこと。サーバーやネットワーク機器など,多くのメーカーが直流電源に対応した製品を販売している。カタログに載っていなくても,メーカーの担当者に聞けば対応製品を用意していることがある。
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