総務省は10月14日,国内の無線ブロードバンド普及推進について検討する「ワイヤレスブロードバンド推進研究会」の第8回会合を開催した。4月に中間報告を公表して以降,無線ブロードバンドの利用形態ごとに設置した作業班が具体的な通信システムや望ましい周波数帯について議論してきたが,今回はその結果を報告した。

 研究会が設置したのは,(1)自宅や外出先,移動環境での利用を検討する「SIG-I」(special interest group-I),(2)有線ブロードバンド・サービスを享受できないエリアでの用途を検討する「SIG-II」,(3)ITS(高度道路交通システム)や車同士の通信形態を検討する「SIG-III」,(4)情報家電の通信を検討する「CIAJ情報家電ネットワークタスクフォース」--の4作業班。

 研究会が公表した中間報告で,多数の事業者が早期にサービス化を望む通信規格とした提案した「WiMAX」は,SIG-I,SIG-IIの両方で具体的な通信方式として名前が挙がった。具体的な導入時期については「需要の高いエリアを中心に2007年から」(SIG-Iの主査を務めた電波産業会の若尾正義構成員),利用帯域については「2.5GHz帯,4.9GHz帯が候補となる」(SIG-II主査の三菱総合研究所の森山光彦構成員)などといった報告がなされた。

 ただしWiMAX以外にも,最終報告案では複数の通信方式が盛り込まれる予定。SIG-Iでは高度化第3世代携帯電話システムや第4世代携帯電話システムが,SIG-IIでは「iBurst」や次世代PHSなどの通信方式が挙がっている。

 このほか,SIG-IIIやCIAJ情報家電ネットワークタスクフォースからも検討結果が報告された。

 総務省はこれらの報告をまとめ,11月上旬に再び研究会を開催し,研究会の最終報告書案を作成。報告書案をパブリック・コメントにかけた後,年内には報告書を策定する予定である。