握手をするKDDI,東京電力,パワードコムのトップ3人
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KDDIの小野寺正社長
KDDIの小野寺正社長
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東京電力の勝俣恒久社長
東京電力の勝俣恒久社長
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パワードコムの中根滋社長
パワードコムの中根滋社長
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 10月13日に発表されたKDDIと東京電力の包括的提携の内容は,ほとんどがこれまでの報道の通り。パワードコムの合併比率では合意したものの,共同展開を予定するFTTH(fiber to the home)事業については,「具体的な内容は固まり次第,改めてお知らせする」(東京電力の勝俣恒久社長)という状況にある。

 会見で明らかにされた「事業の垣根を越えた通信サービスとエネルギー・サービスのコンバージェンス『FMC+E(固定通信・携帯電話の融合+エネルギー)』」のコンセプトも実態は不明。提携のシナジー効果が出せるのかどうかは,FTTH事業における具体的な検討の行方次第と言えそうだ。

 主な質疑は以下の通り。

--正式発表まで時間がかかった印象だが原因は。

 KDDIの小野寺正社長(以下,KDDI) スケジュール通りにやってきた。新聞報道などでは9月という話が出ていたが,我々としてはそんなことは考えておらず,遅れたつもりはない。

--他の電力会社や電力系通信事業者との関係はどうなる。

 東電の勝俣社長(以下,東電) 今後,いろいろ話し合いを進めていく。KDDIと各電力会社で折衝してもらい,場合によっては我々が橋渡しをする。それぞれの電力会社や電力系通信事業者の意向をよく聞いたうえで対応したい。

 KDDI 当社としては他の電力会社と話を進めるつもりはある。パワードコムはこれまで,電力系通信事業者で構成する「パワーネッツ・ジャパン」の事務局として機能してきた。そのため,パワードコムの意見を聞きながらどう進めていけばよいかを今後協議したい。

--フュージョン・コミュニケーションズなどのパワードコムの関連会社はどう切り離すのか。また(パワードコムが無線LANサービスのバックボーン構築などを担当する)ライブドアとの関係は。

 東電 パワードコムの関連会社については,東電の株式引き取りを含めて第三者も入れて考えている。日々,対応のために折衝中だ。

 パワードコムの中根滋社長(以下,パワードコム) ライブドアは,ユーザーへの無線LANアクセス提供を狙っているが,単純にKDDIと真っ向から競争することにはならないと思う。合併後も,ライブドアを支援できるのではないか。

--エネルギーと通信の融合(FMC+E)とはどういうものなのか。東電はどのようにKDDIの経営にかかわるのか。

 東電 現在,電気事業部門でトータル・ソリューション・サービスを展開している。電気だけでなく熱や自動検診などの生活インフラに関連する。これに「通信」を加えて,さらに大きなトータル・ソリューション・サービスとする。また,PLC(電力線通信)にもつながる話だ。

--包括提携によるKDDIの収益面での目標は。FTTH事業への設備投資の一部負担はどう進めるのか。

 KDDI まさしく本日,基本合意に至ったばかり。「これから今後の中長期的な事業計画を両社なりにスタートしよう」という合意をしたところ。具体的な話はまだ勘弁してほしい。

--新たな体制になったあと,法人向けの固定通信ビジネスをどう展開すると考えているのか。

 KDDI いろんなことを検討中だ。その中でどういう形にするか決めていきたい。いずれにせよ,KDDIは固定通信と移動通信を両方持っているのが特徴。これを組織的に生かせるようにしたい。

--中根社長の今後のポジションは。

 東電 人事関係はこれから考える。パワードコムの再生に短い間だったが尽力してもらい,パワードコム統合への取りまとめもしてもらって,中根社長には感謝している。(中根社長に特定の役職を要望するかどうかなどは)まったくの白紙だ。

 パワードコム 今日は基本合意の発表に過ぎない。パワードコムはKDDIや東電に比べると小さい会社だが,それでもグループに社員が2000人おり,売上高が2000億円あって歴史も20年ある。お客さまも4000から5000という数になろうとしている。この発表で単純にすべての作業が終わるわけではなく,これから合併作業の算段をつける仕事があり,それで頭がいっぱい。これが正直な気持ちだ。

(宗像 誠之=日経コミュニケーション