TBS株の大量取得について経緯を語る楽天の三木谷浩史会長兼社長
TBS株の大量取得について経緯を語る楽天の三木谷浩史会長兼社長
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 楽天は10月13日,楽天による東京放送(TBS)の株式の大量取得について記者会見を開いた。同社の三木谷浩史会長兼社長は,子会社を通じてTBSの発行済み株式の約15.46%に当たる合計2938万株を取得したことを表明。さらに,「TBS経営陣に対し,楽天と共同で持ち株会社を作り,その下で両社を統合することを本日提案した。これにより世界に通用するメディア・グループを設立したい」(三木谷社長)と述べた。

 提出した提案書は100ページ弱のボリュームがあり,TBSとの会談は20分強に及んだという。TBSサイドの反応は「やはり少し驚いた様子だった」(三木谷社長)。それを気遣ってか,三木谷社長は言葉を慎重に選びながら経緯を説明。「TBSはコンテンツ制作能力が高く報道にも強い。海外ではCNN.comなど,ニュース系の映像配信サイトが急速に立ち上がっている。ナンバーワン・ポータルを目指す楽天とシナジー効果を出せる」と,今回の提案の目的を語った。

 三木谷社長よると,TBSとの提携の検討を開始したのは2004年の8月ごろ。1年以上にわたってTBSとの間で何度か事業提携について話し合いの場を持ったという。「我々の提携への本気度を表明する意味もあり,今回の株式大量取得に挑んだ」(三木谷社長)。

 さらに三木谷社長は,デジタル・レコーダーの普及によってテレビ番組のCMスキップが増えている問題に触れ,「テレビからWebに誘導することで,新たな広告収入を確保できる」と連携のメリットを強調。楽天が考える「通信と放送の融合」の一つの形を示した。

 放送事業の公共性や中立性を守る必要性についても言及した。「放送事業の独立性を担保するために,共同で持ち株会社を設立し,その下にTBSと楽天が収まる形を提案した」(楽天の國重惇史・代表取締役副社長執行役員)と説明する。

 今回の提案がTBSに拒絶された場合の対応については,「現時点では考えていない。拒絶されてから考える」(三木谷社長)と述べるにとどまった。なお,一部報道にあった村上世彰氏が率いるM&Aコンサルティング(通称,村上ファンド)との関係については,「今回の件で話し合った事実はない」(三木谷社長)と否定。「楽天の株式取得は戦略的な投資であり,ファンド目的ではない」(三木谷社長)と,村上ファンドとの違いを改めて強調した。