グリッド・コンピューティング用のミドルウエアを開発するカナダ企業、プラットフォームコンピューティングの日本法人は10月11日、企業内にある複数のサーバーを統合管理するソフトを発表した。製品は「Platform Enterprise Grid Orchestrator(EGO)」と「Virtual Machine Orchestrator(VMO)」の二つ。いずれも来年初頭に出荷する予定で、価格は未定。

 EGOは、企業内に多数存在するサーバーやストレージなどのハードウエアを、仮想的に単一の資源とみなして管理するグリッド構築ソフト。ERPパッケージ(統合業務パッケージ)やデータベース・ソフトなどの各アプリケーションが稼働するサーバーにEGOのエージェント・ソフトを搭載すると、EGOの管理サーバーでそれぞれの負荷を監視し、必要に応じて最適な資源を動的に割り当てる。アプリケーション・ソフト開発者は、同社が公開するAPIに基づいてEGO対応のソフトを開発できる。APIは年内に無償公開する予定。また、アプリケーション・ベンダーがEGOを購入し、自社のソフト製品に組み込んで販売することも可能。

 一方、VMOは「VMware」や「Virtual Server」といった仮想化ソフトと組み合わせて使う製品。仮想化ソフトの上で動作するOSやアプリケーションの負荷に応じてEGOの管理下にあるハード資源を動的に割り当てることができる。故障したサーバーの上で動作していた仮想マシン(VM)とOSを、別のサーバーに移して継続動作させるフェール・セーフ機能も備える。カナダ本社のソニアン・ゾウCEO(最高経営責任者)は、「仮想化ソフトを使って10台のサーバーを1台に統合すると、1台のハードウェア故障で影響を受けるアプリケーションは従来の10倍になる。VMOを使えば、サーバー統合のリスクを減らせる」と説明する。

 同社はこれまで金融業のトレーディングや製造業の設計業務などに向けてHPC(High Performance Computing)用のグリッド構築ソフトを販売してきたが、今回、より汎用性の高いグリッド・コンピューティング環境としてEGOやVMOを開発した。独SAPのERPソフトや米オラクルのデータベース・ソフトなどの利用を想定している。