写真1●経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課課長補佐 石塚康志氏
写真1●経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課課長補佐 石塚康志氏
[画像のクリックで拡大表示]

 「政府IT調達指針がほぼ完成し,現在各方面との最終調整作業に入っている。指針の副題は『オープンソフトウエア活用に向けて』」---経済産業省 商務情報政策局情報処理振興課課長補佐 石塚康志氏は10月6日,イベント「Open Source Way 2005」の講演で,総務省などと共同で策定している,特定の製品に依存しない政府調達指針の策定状況を報告した。

 調達指針の基本的な考え方は,政府が電子政府構築を進めていく中で,特定のソフトウエアへの依存は将来の選択肢を狭め,システムの費用対効果や柔軟性を損なうというもの。そのため,オープンなスタンダードに基づいた調達を行う(関連記事)。副題として「オープンソフトウエア活用に向けて」という表現が使用されている。“Windows依存からの脱却”と紹介されることもあった。

 政府が考えるオープン・スタンダードの要件は3つある。「1つは『開かれたプロセスのもとで策定され,仕様が公開されていること。誰かが勝手に変えることができないこと』。2つめは『誰でも採用できること。必ずしも無償でなくとも,適切な費用で万人が使用できること』。そして『実装された製品が市場に複数ある,またはありうること』」(石塚氏)。

 日本は,WTOに加盟しており,政府調達では商標名を書かない原則になっている。例外規定で「製品Aと同等以上」といった表現は認められているが「実際には例外規定であるはずの『製品Aと同等以上』という記述が大多数になってしまっている」(石塚氏)。これを本来のあり方に戻す。

 同日,自由民主党のe-Japan特命会議で報告するなど,関係各方面との最終調整を行っている。10月中にも調達への適用が始まる見込みだ。

 また,政府内でオープンソース・ソフトウエアがどれだけ使われてるかの調査も行っている。「約6割の省庁で何らかのオープンソース・ソフトウエアを利用している」(石塚氏)。利用目的として多いのはWebサーバーやメール・サーバーでApacheやsendmailが多く使用されている。OSは2割弱でオープンソース・ソフトウエアが使用されており,Linuxが多いがFreeBSDなどもある。導入比率が低いのは人事システムや給与システムなどで,多くでレガシー・システムが残っていることが影響している。政府のオープンソース利用状況は今後も継続して調査し,公表していく方針だ。