NECは、同社の主力IP-PBX(構内交換機)である「APEX」シリーズ向けに、業界標準のIP電話プロトコルであるSIP(セッション・イニシエーション・プロトコル)の機能を追加できる「UNIVERGE SIP BOX」を開発し、今日から販売を始めた。このSIP BOXを使えば、APEXの顧客にFOMA/無線LANのデュアル携帯電話機「N900iL」などを活用した、無線IP電話のソリューションが提供可能になる。NECは今後、APEXシリーズとSIP BOXのセット提供を強化し、「UNIVERGE APEX」のブランドで拡販を図る。また、APEXの既存ユーザーにもSIP BOXを提供し、SIPによるIP電話ソリューションの拡販に注力する考えだ。

 APEXシリーズは、従来のビジネスフォンとIP電話機の両方を収容し、並行運用できる点から、従来のPBXを置き換える際の主力機種になっている。ただし採用するIP電話プロトコルはNEC独自であり、提供するソリューションも内線電話の枠を出ていない。ラインナップには、小容量のAPEX3600iシリーズと中大容量のAPEX7600iシリーズがある。

 一方でNECは、業界標準のSIPを採用した「UNIVERGE SV7000」シリーズも販売。同シリーズでは、パソコン上でIP電話とアプリケーションを連携させたり、SIPを採用した無線IP電話や、FOMA/無線LANのデュアル携帯電話機「N900iL」を活用したりした、フルIP電話の提案に力を入れている。

 今回のSIP BOXをAPEXシリーズに追加すれば、1台のIP-PBXでビジネスフォンと無線IP電話機やデュアル携帯電話機を並行運用できるようになる。NECは、SV7000にとどまっていたSIPベースのIP電話ソリューションを、レガシーのビジネスフォンを抱えるAPEXのターゲットユーザーにも広げていく構えだ。当初のSIP BOXは早期の製品化を優先したため、NECの「NEterm60」といった固定のSIP電話機はつなげない。ただし、今後のバージョンアップで接続できるSIP対応機器を増やしていく。

 またNECは、待ち受け時間が85時間以上と長い無線IP電話機「UNIVERGE Terminal MH220」も今日から発売した。このように、NECが無線IP電話の新商材を一気に投入するのは、「N900iLを使ったIP電話ソリューションの受注が9月で100社を越え、年度の計画をもう達成した」(執行役員兼エンタープライズソリューション事業部長の都筑一雄氏)など、商談が好調に推移しているためだ。そこで、APEXの既存顧客からも、無線IP電話ソリューションの需要を開拓することにした。特に小容量のAPEX3600iシリーズをSIP対応にしたことで、部門などの小規模導入ユーザーを掘り起こす狙いだ。今回の新製品投入で、次の販売目標も「小規模導入も含めて、年間で1000社を獲得したい」(都筑事業部長)と大きく引き上げた。

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