会見する平成電電の佐藤賢治代表取締役社長
会見する平成電電の佐藤賢治代表取締役社長
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 10月3日午前、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請し、事実上倒産した平成電電の佐藤賢治代表取締役社長が、3日夕方会見を開いた。

 記者会見の冒頭で佐藤社長(写真中央)は「ひとえに社長である私の経営責任」と頭を下げた。民事再生法の適用を申請した理由については、「約1200億円の負債を抱え、10月3日に返済予定の資金が調達できなかった」と、プレスリリースの説明を繰り返した。提供中の通信サービスは「ユーザーに迷惑をかけない形で営業を継続する」とし、今後は「スポンサーを探して、再生計画を実行する」とした。

 1200億円の負債のうち、900億円がリースで調達した通信機器の代金。佐藤社長はこの大半が2003年7月に参入した自社回線を利用する直収電話サービス「CHOKKA」の設備と説明し「100万回線のユーザー獲得を目指したが、計画通りに行かなかった。事業継続のため、直前までがんばっていた」と弁明した。ただし、会見で明らかにされたCHOKKAの回線数は10月3日現在の開通ベースで、わずか14万5000回線に過ぎず、採算ラインの100万回線に遠く及ばない。

 会見では、直前の9月30日まで募集されていた資産証券化商品「平成電電匿名組合」について質問が集中した。このファンドは同社に通信設備をリースしていた平成電電設備と平成電電システムが募集していたもので、平成電電のWebサイトに「予定現金配当額(毎月)年10%相当」の文言が踊る広告が掲載されている。

 佐藤社長は「両社と平成電電は一切資本関係はなく、通信設備のリースを受けていただけ」と説明する。ただ、会見では同ファンドが約1万9000人の投資家を集め、トータルで約490億円の資金を集めたことも会見で明らかにされた。

 また、平成電電自身も2004年に「平成電話パートナーシステム」と呼ぶファンドを募集し、約150人の投資家から20億円の資金を集めているという。こちらは「平成電電が民事再生法を申請した時点で、一切の請求権を失われる契約になっていた」(会見に同席した申立代理人弁護士の松村正哲氏)という。