武田薬品工業は10月3日、同社の情報システムの開発/保守/運用を日立製作所と共同で設立する新会社に移管することを発表した。事実上のフルアウトソーシング契約で、契約期間は10年間である。

 武田薬品はこれまでマルチベンダーで情報システムを構築・運営しており、日立製作所とのつながりが特段深かったわけではない。そうした中でアウトソージング先として日立を選んだ理由を「製薬業界での情報システム関連業務の受託を拡大したい日立側と、我々との方向性が一致した」(広報担当者)と説明する。

 さらに「将来は、他の製薬会社とのシステム共同化を視野に入れている」(同)とも付け加える。製薬業界では、三共が今年10月1日から、日立製作所などと合弁で設立した新会社へのアウトソーシングを開始している。

 武田薬品と日立は新会社を来年3月までに設立し、同4月から武田薬品のIT関連業務を委託する。新会社の出資比率は当初、日立が66%、武田薬品が34%だが、2008年度以降は日立の100%子会社にする計画。

 武田薬品の情報システム部員約60人は来年度以降、新会社に出向。うち希望者が2008年度以降に新会社に転籍する。資本金や場所は現段階で未定である。新会社には日立からも10人程度が出向する。