写真1●仏PSA Peugeot CitroenでのScilab利用例
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写真2●仏PSA Peugeot CitroenでのScilab利用例
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写真3●Electricite de FranceでのScilab利用例
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写真4●INRIA教授 Claude Gomez氏
写真4●INRIA教授 Claude Gomez氏
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写真5●国立情報学研究所 教授の高野明彦氏
写真5●国立情報学研究所 教授の高野明彦氏
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 国立情報学研究所は9月30日,「サイエンティフィック・オープンソース・ソフトウェアデー」を開催した。科学技術分野のオープンソース・ソフトウエアの普及,発展を目的とした講演会である。INRIA(フランス国立コンピュータ科学・制御研究所)教授のClaude Gomez氏が,同研究所が開発した数値演算ソフトScilabについて講演。国立情報学研究所 教授の高野明彦氏が,同研究所が開発した連想計算ソフトGETAについて講演した。

 Scilabは,シミュレーション,制御系設計,最適化計算,信号処理などに使用できるオープンソースの行列計算パッケージ。要素間をマウスでつないでシミュレーションを設計できるGUIインタフェースや,計算結果を可視化するためのグラフィックス機能なども備える。

 大学や研究機関だけでなく,企業でも利用されている。「自動車大手の仏PSA Peugeot Citroenや,電力会社のElectricite de Franceがシミュレーションなどに使用している」(Gomez氏)。日本ではまだ企業での本格的な利用例は少ないが,筑波大学や広島大学,琉球大学などで研究や教育に使用されている。

 GETA(Generic Engine for Transposable Association)は,どの文書にどの単語が何回出現するというような,文書や単語の類似度などを計算するソフトウエア。連想検索や文書の分類などのサポートを目的とする。情報処理振興事業協会(IPA)が実施した「独創的情報技術育成事業」により開発された。

 国立情報学研究所 教授の佐藤真一氏は「日本の研究機関から生まれたオープンソース・ソフトウエアはまだまだ少ない。ソフトウエアを実用レベルにする作業は論文にならず,マンパワーを集めるのが難しい」と指摘する。しかし「INRIAはScilabにリソースを投下して高機能なソフトウエアを開発し普及させた。日本でもGETAのような完成度の高い科学技術分野のオープンソース・ソフトウエアを増やしていきたい」という。