会見するアイピーモバイルの杉村五男・代表取締役
会見するアイピーモバイルの杉村五男・代表取締役
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 ベンチャー企業のアイピーモバイルは9月30日,新規参入を目指す携帯電話事業の申請書類を総務省に提出した。新規事業者の参入申請は,ソフトバンク,イー・アクセスに次いで3社目となる。

 アイピーモバイルが申請した周波数帯は2GHz帯。ソフトバンクとイー・アクセスが申請した1.7GHz帯とは異なる。導入を目指すのはTD-CDMA(time division-code divison multiple access)と呼ぶ第3世代携帯電話方式で,データ通信に適している。

 総務省の許可が下り次第サービス開始に向けた準備を始め,2007年3月までに東名阪地域でデータ通信サービスを提供する。「パソコン向けだけでなく,カーナビなど車載器への搭載など組み込み型データ通信サービスも提供したい」(アイピーモバイルの杉村五男・代表取締役,写真)。2007年以降順次エリアを拡大。2010年3月までには全国展開を予定している。音声サービスや法人向けソリューションなども提供する考えだ。

 同社の計画では,今後2007年度までに約1500億円をかけて設備投資をする。社員も現在の20人から一気に450人に増やす。

 申請に当たって懸念されていた財務面については,2005年10月をメドに第三者割当増資を実施することを明らかにした。具体的には,インターネットイニシアティブ(IIJ)子会社のIIJテクノロジー,CSK傘下のCSKプリンシパルズ,翔泳社,楽天グループの楽天ストラテジックパートナーズが引き受け先となり,総額8億7500万円を増資する。これにより,アイピーモバイルの資本金は13億2500万円となる。

 これらの企業以外にも3社と出資を含む提携交渉を続けていることも明らかにした。「具体的な社名についてはコメントできない」(杉村代表取締役)としたものの,9月30日に日本経済新聞が報じた米リバティグローバル,三井物産,NTTPCコミュニケーションズと見られる。最終的には400億円~600億円を調達すると言う。

 総務省は新規事業者の申請を9月30日で締め切る。2GHz帯の参入に名乗りを上げていたPHS事業者のウィルコムとライブドアは最終的に申請を見送った。