ワープロ・ソフト「一太郎」、グラフィック・ソフト「花子」を巡るジャストシステムと松下電器産業の裁判で全面勝訴したこと(関連記事)についてジャストシステムは、「今回の知的財産高等裁判所の大合議判決は、当社の主張を認めた妥当なものであると同時に、ソフトウェアに関連する特許権の行使に対し、一定の歯止めをかけた点で評価できるものと考えております。また、お客様は、今後も問題なく『一太郎』『花子』を利用、購入することができます」とコメントした。

 一方、訴えを棄却された松下は、「控訴理由に対する当社の反論が認められず、高裁で新たに提出された資料により、特許無効の判断が示されたことは大変残念に思います。今後の対応については、判決の内容を詳細に検討した上で、決定する所存です。尚、当社は創業以来、知的財産権を尊重する会社であり、第三者の知的財産権を尊重する一方、当社の知的財産権も尊重されるべき、との一貫した方針を堅持しています」とした。

 判決では、松下の特許を「無効にされるべきものである」とされたことが、ジャストシステムが勝訴する要因となった。知財高裁が「無効にされるべきもの」とした理由は、「既存の発明や周知の技術事項に基づいて、当事者が容易に発明をすることができるから」だ。特許は、松下が1989年に出願し、98年7月に成立している(特許番号2803236)。

 東京地方裁判所がジャストシステムに一太郎、花子の販売停止・破棄を命じた判決を出した理由となった、「“?”と“マウスのイラスト”の組み合わせがアイコンであるか」について知財高裁は、「アイコンに該当する」と判決文の中で述べている。判決文では、「アイコンとは、表示画面上に各種のデータや処理機能を絵または絵文字として表示したものと、一般に理解されている」として、一太郎、花子のヘルプボタンは松下の特許で述べているアイコンと同じであるとの見解を示した。

 だが、知財高裁が、松下の特許自体が無効に値すると判断したため、ジャストシステムの訴えの通り、東京地裁の判決を取り消すこととなった。