ジャストシステムのワープロソフト「一太郎」とグラフィックスソフト「花子」が、松下電器産業が持つ特許を侵害しているとして製造・販売の中止を求めている裁判で、知的財産高等裁判所(806号法廷)は9月30日、東京地裁が出した第一審の原判決を取り消し、松下側のすべての請求を棄却する判決を下した。

 ジャストシステム側では、高裁の審理課程で新たな証拠を提出し、松下の特許は新規性、進歩性にかけたもので特許自体が成立しないと主張していた。松下側では、ジャストの提出した新証拠は、適正な時期に提出を怠った過失に基づくものであり、かつ、審理を遅らせるとして却下を求めていた。

 しかし、判決では、ジャストが提出した新証拠の有効性を認め、松下が販売差し止め請求の根拠とした特許そのものを無効であると判断している。ジャストシステム側の主張が全面的に受け入れられた格好だ。

 今回の判決そのものでは、松下の特許が無効になることはない。しかし、今後、松下の特許に対して無効審判請求が起きた場合には、無効が認められる可能性は高いといえる。




ジャストシステムのコメント

「本日、『一太郎』『花子』の販売差し止め請求事件について、原判決を取り消す旨の判決がありました。当社の主張が認められた公正・妥当なものであると考えています。」



松下電器産業のコメント

「控訴理由に対する当社の反論が認められず、高裁で新たに提出された資料により、特許無効の判断が示されたことは、大変残念に思います。今後の対応については、判決の内容を詳細に検討した上で、決定する所存です。

 尚、当社は創業以来、知的財産権を尊重する会社であり、第三者の知的財産権を尊重する一方、当社の知的財産権も尊重されるべき、との一貫した方針を堅持しています。」