米Adobe Systems CEO(最高経営責任者)のBruce Chizen氏は9月29日,アドビシステムズが開催した事業戦略説明会の席上で,米Macromedia買収の見通しと今後の製品戦略について語った。買収は遅くとも年内には完了する見込みで,両者の既存の製品ラインを直ちに統廃合する予定はないという。ただし,個人的な希望としてPDFとFlashの将来的な統合に言及した。

 Chizen氏によれば,「8月にはAdobe SystemsとMacromediaの両者の株主総会で買収提案を支持していただいた。規制当局の認可を待っている状態にあり,順当にいけば今秋,遅くとも年内には統合を完了できる見通しだ」。その上で,両社製品の今後については,「統合前に将来のことを話すのは禁じられている」としつつ,「既存の主要製品は重複するものではなく,相互に補完的なものだと理解している。ユーザーの利益を守るためにも,両者の製品を直ちに統廃合することは考えていない」とした。効果的な相互補完の例として,Adobe LiveCycleで生成したPDFデータ上にMacromedia FlexでFlashアプリケーションを配信し,グラフや画像などを動的に切り替えるという使い方を挙げた。

 ただし将来的には,「PDFとFlashのそれぞれの長所を採り入れた統合プラットフォームを作り上げたい」と希望を語った。そして,PDFの仕様を公開して国際的に標準化を進めたことで,「Adobeへの支持が高まり,サードパーティ製品の増加で市場が活性化した」ことを引き合いに出し,「新たな統合プラットフォームにも同様の効果を期待したい」と標準化にも意欲を見せた。

(実森 仁志=日経システム構築)

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