ERPパッケージ(統合業務パッケージ)「E-Business Suite(EBS)」を中心とする日本オラクルのビジネス・アプリケーション事業が苦戦を続けている。4年ぶりの増収増益だった2005年5月期(2004年6月~2005年5月)でも、ビジネス・アプリケーションの売上高は前年度比7.7%減の26億1700万円。2005年6~8月も前年同期比31.4%減の1億5900万円と不振が続く(関連記事はこちら)。

 なぜ、日本のアプリケーション事業が伸び悩んでいるのか。9月17~22日に米サンフランシスコで開催されたカンファレンス「Oracle OpenWorld 2005」で、米オラクルのラリー・エリソンCEO(最高経営責任者)にその理由を直接尋ねたところ、以下のように説明した。

 「日本には富士通や日立製作所のような国産ベンダーがあって競争が激しい。さらにシステム・インテグレータが提供するカスタム・アプリケーションの割合が高い。世界の他の地域と違い、非常に独特な市場だ。その中で日本企業はさらにリソースを積極的に投入しており、成功している海外(のアプリケーション)ベンダーは1社もないのが現状。当社の日本法人は能力のある優れたチームだが、こうした理由のために業績がしかるべきレベルに達していない」。

 同社のチャールズ・フィリップス社長にも同じ質問をぶつけてみると「ディストリビューションが十分でなかったのが原因」との答えを得た。つまり、オラクルのビジネス・アプリケーションを扱うパートナがまだ十分でないということだ。

 だが、エリソンCEO、フィリップス社長とも「状況はそう遠くないうちに改善する」との見方を示す。「現在、マネジメント・チームが事業のテコ入れに力を注いでいる。自動車や金融関連では健闘しており、今後事業は好転すると確信している。当社にとって日本市場での成功は非常に重要だ」(エリソンCEO)。「ディストリビューションの問題は、ピープルソフトやシーベルの買収で改善される見込みだ。(買収による)新しい魅力的なポートフォリオに興味を示すパートナが増えている。特に金融では、我々が提示する次世代システムに大きな関心を寄せている。日本は市場は大きく、数多くのビジネス・チャンスがある。当社としては引き続き力を注いでいく」(フィリップス社長)。