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 ノベルは個人向けLinuxディストリビューションの新版「Novell SUSE Linux 10.0日本語版」を10月7日に発売する。10.0はopenSUSEプロジェクト(関連記事)発足後初の製品版となり,同一構成の無償版も即日ダウンロードできる。

 米Novellは2005年8月に「openSUSE project」を発足させ,SUSE Linuxの開発をコミュニティ・ベースに移行,SUSE Linuxの最新版をリアルタイムで公開している。製品版のSUSE Linux 10.0日本語版は「製品版には問い合わせサポートとCD-ROMのマニュアルが付属するが,商用のフォントや商用ソフトウエアは一切含んでいない」(ノベル Linuxソリューショングループシニアマネージャ 山崎正広氏)。openSUSEプロジェクトのロードマップでは,SUSE Linux 10.0は現地時間10月6日に公開される予定。またSUSE Linuxはすべての言語向けに同一バイナリで提供されており,SUSE Linux 10.0日本語版も即日公開されることになる。

 Novellは,個人向けのSUSE Linuxに加えて,サーバー向けにSUSE LINUX Enterprise Serverを,企業向けデスクトップとしてNovell Linuxを販売している。これらは安定性を重視してSUSE Linuxの“枯れた”バージョンをベースにしている。この関係は,米Red HatのFedore CoreとRed Hat Enterprise Linuxの関係に似ている。Fedora Coreはコミュニティ・ベースにより,新しいバージョンのカーネルやライブラリ,アプリケーションを組み合わせて開発される無償版。Red Hat Enterprise Linuxは,Fedoraの成果を取り入れ,安定性を重視して開発される企業向けの製品である。

 ただし,Fedora Coreがあくまで無償のディストリビューションであるのに対し,SUSE Linuxは製品としても販売される。「Novellが品質を保証する」(山崎氏)。“製品版の品質”をアピールすることでユーザーを増やす狙いだ。また「Fedoraとは異なり,openSUSEに対するフィードバックは製品に反映される」(Novell Executive Vice President Ronald Hovsepian氏)。日本の開発者からも,縦書きに関する問題のフィードバックがあり,それがSUSE Linux 10.0に反映されたという。製品に反映されるという“やりがい”により,開発者を集めるという狙いもある。

 Novell SUSE Linux 10.0はLinuxカーネル2.6.13やKDE 3.4などを採用。また2005年5月に買収した米Immunixのセキュリティ対策ツール「Novell AppArmor lite」も搭載した(関連記事)。SELinuxのように,ポリシーに基づきアプリケーションの挙動を制限するツールである。

 Novell SUSE Linux 10.0日本語版はオープン価格で,ノベルによる推定価格は9240円。