米マイクロソフトは9月20日(米国時間)、大規模な組織再編を実施したことを発表した。既存の組織を三つの事業部に再編し、各部門の責任者として部門社長を任命した。また、Windows部門の責任者を務めてきたジム・オールチン氏が、Windows Vista出荷後の2006年末に同社を退職することも明らかにした。

 スティーブ・バルマーCEO(最高経営責任者)は、今回の組織再編の狙いを、「意思決定能力の強化と実行スピードの迅速化」と説明する。マイクロソフトは今年後半から来年にかけて、データベース・ソフト「SQL Server 2005」や次期Windows「Windows Vista」、「Office12(開発コード名)」など、主要製品の新バージョンを相次ぎ投入する。組織を整理・簡素化することで、「変化を続ける顧客ニーズに、より的確に対応できるようになる」(バルマーCEO)。

 新設する事業部の一つ目は、Windowsクライアント、サーバー・ソフトと開発ツール、MSNの3部門を統合した「Platform Products & Services Division」である。部門社長に就任するのは、販売/マーケティング/サービス事業を統括するケビン・ジョンソン氏。これまでWindowsやサーバー・ソフト部門を率いてきたジム・オールチン氏を引き継ぐ形で、オールチン氏が退職する2006年末までは共同で部門社長を務める。

 二つ目の事業部はOfficeなどの「Information Worker」部門と、業務アプリケーションの「Business Solutions」部門を統合した「Business Division」。部門社長には、Office部門を統括していたジェフ・レイクス氏が就任した。三つ目は、ゲーム機や周辺機器などの「Home and Entertainment」部門と、携帯電話やPDA(携帯情報端末)などの「Mobile and Embedded Devices」部門を統合した「Entertainment & Devices Division」。部門社長にはゲーム部門を統括するロビー・バック氏が就任した。

 退任するオールチン氏は、1990年にマイクロソフトに入社。ネットワーク関連の製品戦略立案に携わった後、マイクロソフトの根幹であるWindows部門の責任者を長く務めた。バルマーCEOは、「当社の成功に対する計り知れない貢献、多大の実績に対して、マイクロソフトを代表して感謝する」と述べている。

 また、CTO(最高技術責任者)を勤めるレイ・オジー氏の権限を拡大し、全3部門にわたってソフトウエア戦略やサービス戦略の立案に携わるようにした。オジー氏は2005年3月にマイクロソフトが買収を発表したグルーブ・ネットワークスの創業者。ロータス ノーツの発明者として知られ、グルーブではピア・ツー・ピア型のグループウエアを開発した。買収後、オジー氏はマイクロソフトにCTOとして入社したが、グループウエア関連の技術戦略など、担当分野が限られていた。