富士通と富士通アドバンストソリューションズ(FASOL)は9月21日、偽造キャッシュカードなどによる預金の不正な引き出し操作を発見する「不正出金監視システム」を販売開始した。出金額や操作時間、操作場所、引き出し回数などを過去の取引内容に照らし合わせ、疑わしい取引を検出する。金融庁からの要請に基づき、異常取引を早期発見する仕組みの整備を急ぐ金融機関の需要を見込む。

 不正取引の主な監視対象は、偽造キャッシュカードや盗難キャッシュカードによる、ATM(現金自動預け払い機)や銀行窓口などでの出金操作。金融庁が発表した偽造キャッシュカードの実態調査を参考に、異常取引のパターンを盛り込んだ「スコアリング・モデル」を使い、取引ごとの異常性を数値化。過去の出金操作とは全く異なる地域での操作や、早朝における多額の引き出しなど、数値が高い順に不正出金疑惑取引の一覧表を作成する。

 金融機関は、この一覧表を基に、不正に預金を引き出された疑いが高い口座の預金者に電話や電子メールで通知。預金の引き出しを一時的に停止するなどの処置を取る。異常取引の一覧表の作成頻度は、毎日1回あるいは数時間おきなど、金融機関が指定できる。

 金融機関における偽造キャッシュカードなどによる不正取引の対策は、人手に頼ることが多く、発見までに時間がかかっていた。不正出金監視システムの導入で、「不正が発生してからそれを見つけるまでの時間を極力短縮し、被害を最小限に抑えられる」(富士通広報)。

 不正出金監視システムの導入価格は、700万円から。システムの製品化に際しては、兵庫県の第二地銀、みなと銀行の支援を受けた。富士通とFASOLは、今後3年間で30システムの納入を目標にしている。