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 野村総合研究所(NRI)は9月6日、台湾の流通最大手である統一超商のシステム子会社、統一資訊(PIC)に出資した。統一超商は「セブン-イレブン」をはじめ、「統一スターバックス」「統一速達(ヤマト運輸との合弁)」「ダスキン樂清サービス」「台湾無印良品」などの事業を手掛ける。NRIの椎野孝雄・取締役兼常務執行役員(流通・サービス・産業システム担当)に、出資の狙いなどについて聞いた。

◆統一超商とは、1992年来の付き合い。日本のセブン-イレブンをお手本にPOS(販売時点情報管理)システムを導入したいということで、システム構築などで協力した。その後、統一超商はPICを設立してシステム/ネットワーク技術の蓄積を図ってきたが、単独ではなかなか難しい。2年ほど前から、PICの経営に参画することを求められていたこともあり、リスクはあるが出資に踏み切った。

◆今回の決定には、単なるシステム子会社への出資というだけではなく、中国市場への進出という、もう1つのテーマがある。統一超商は「スターバックス」を上海に出店するなど、中国市場の開拓を積極的に進めており、PICにはシステム面での下支えを期待している。NRIとしてもPICの経営に協力することで、中国進出の足掛かりの1つとしたい。現在の出資比率は14%だが、統一超商からさらなるコミットを求められていることもあり、今後段階的に出資比率を引き上げていく。

◆中国には既に、NRI北京などの現地子会社がある。NRI北京は、現地に進出したイトーヨーカ堂やセブン-イレブン・ジャパンのシステム運用などを手掛けている。今後はPICとNRI北京の協業を検討する。我々が日本の進んだ流通システムのノウハウを提供し、PICを通じて中国の制度を学ぶといったことが考えられる。PICの人が育って、NRI北京にトップになってくれてもよい。将来的には両社のシナジーを生かして、中国現地の流通企業向けのビジネスにも取り組んでいく。