アイエニウェア・ソリューションズは,スマートフォン(ドコモのM1000とボーダフォンの702NK)で業務用データの閲覧や入力が可能なシステムを発売する意向を表明した。この製品について,同社の早川典之社長(写真左)と舟木将彦シニアエンジニア(写真右)に聞いた。
--日本で発売予定のスマートフォン向けソリューションを教えてほしい。
来春にも,M1000や702NKが採用しているSymbian OS上で動く「Ultra Light」というデータベース・ソフトをリリースする。さらに来夏以降に「M-Business Anywhere(MBA)」という業務用ソリューションをSymbian OSに対応させる。
MBAは,我々が昨年買収した米AvantGoが開発したシステムをベースにしている。コンテンツを集約・管理・配信するサーバー・ソフトと,配信された情報を受ける携帯端末用のソフトで構成する。買収前のAvantGoでの用途は,ニュースやエンタテイメントなどのコンテンツを登録ユーザーに配信するサービスだった。これを一般企業向けにしたのがMBAだ。
--MBAの特徴は。
クライアント・ソフトが,配信された情報を表示するだけではなく保管,つまりキャッシュできること。クライアント側でデータを入力することも可能だ。クライアントにデータベース・エンジンであるUltra Lightを組みあわせれば,入力したデータを蓄積しておくこともできる。もっともコンテンツの量があまり多くなければMBAのクライアントだけで実用化でき,Ultra Lightは不要だ。
MBAのクライアントが持つキャッシュは,サーバー側からプッシュで更新できる。クライアント側で入力したデータをサーバーが回収する仕組みも備える。ユーザーがオフラインで入力を行って,後で同期するような使い方が可能だ。
ユーザーが入力した内容を保管しておき,ネットワークにつながったときにサーバー側に送信できるのが「使う気になるシステム」だと考える。
--MBAはノート・パソコンやPDAにも対応している。スマートフォンならではのメリットはあるか。
携帯電話は誰でも持ち歩いている。さらにPDAを持つのは面倒。また日本では米国とは違ってB5ノートでも重いという考え方がある。確かにノート・パソコンを利用している仕事をすべてスマートフォンでこなせるかというと答えはノー。だが業務によっては十分だと思う。
--そのスマートフォンにデータベースを搭載できるというが,データ・サイズが大きくて入りきらないことはないのか。
データベース・エンジンはアプリケーションに組み込むケースと,単体のデータベースとして使うケースの2種類の使い方がある。前者はアプリケーションのサイズが500Kバイトから1Mバイト増え,後者の場合は参考値だが1.3Mバイト程度となる。M1000のメモリー・サイズは19Mバイトあるので,残るエリアにデータベースを記憶できる。