マイクロソフトは9月16日、企業向けのライセンス制度「ソフトウェアアシュアランス(SA)」に新たな特典の追加や既存特典の強化を実施すると発表した。導入計画の支援サービスの提供や、製品サポートの強化などを実施するほか、次期版Windowsでは、SA専用の製品を用意する。新制度「Software Assurance 2006」は、2006年3月から提供を開始する。

 SAは、契約期間(3年間)中に出荷される製品の新版に、何度でも追加料金なしでバージョンアップできるライセンス制度。サーバー製品やデスクトップ製品全般が対象で、ユーザー企業にとっては、ライセンスの管理がやりやすくなるなどのメリットがある。しかし、アップグレードをそれほど実施しないユーザー企業にとっては、逆に割高になるといった不満もあり、これまでそれほど浸透していなかった。

 田口恭子ビジネスマーケティング戦略本部ビジネスマネジメント部ライセンス&プライシンググループマネージャ「SAはこれまでユーザー企業から、ともすればただのアップグレード権と思われていた」と話す。

 今回、製品サポートの強化や導入計画の支援、トレーニングといった特典を追加することで、ユーザー企業にSA契約を促す。例えば製品サポートの強化は、新制度の大きな目玉だ。24時間×7日のサポートの対象製品を、エンタープライズ向けサーバー製品に加え、Windows製品やOffice製品に広げた。また、WindowsやOfficeの導入計画について、マイクロソフトの認定パートナー企業が、オンサイトのサポートを提供する。

 さらに、来年後半の出荷を予定するWindowsの次期版であるWindows Vistaには、SAユーザーだけが利用できる「Windows Vista Enterprise」を用意する。Windows Vista Enterpriseには、起動時のセキュリティチェック機能やハードディスク全体の暗号化機能を提供する。

 ハードやアプリケーションの移行を支援するためのソフトもSAユーザー向けに提供する。1つは、最新のパソコン上で既存アプリケーションを稼働させる目的で、仮想化ソフト「Virtual PC Express」。もう1つが、古いパソコンで、最新のWindowsのセキュリティや管理などを利用できるようにするOS「Windows Fundamentals for Legacy PCs」である。Windows Vista Enterpriseには、Virtual PC Expressが標準で搭載される計画だ。

 SAは、同社のボリュームライセンスを通じて提供する。ボリュームライセンスには、パソコンを250台以上持つ企業向けの「Enterprise Agreement」と、5台から250台の企業向けの「Open Value」 がある。今回のSAの強化に合わせ、今年10月からボリュームライセンスのプログラムも強化する。年額の利用料を支払うサブスクリプションオプションの年間の支払い額を引き下げるほか、Open Value向けにも、サブスクリプションオプションを新たに採用する。

 今回の強化でSAが浸透するかどうかはまだ未知数だが、SAの拡販には、販売パートナーであるソリューションプロバイダが積極的にSAをユーザーに提案することが不可欠だろう。田口マネージャは「ユーザー企業がSAを導入すれば、ソリューションプロバイダにとっても、ユーザー企業との継続的なビジネスにつながるメリットが大きい」と話す。

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