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▲今後3年間のWindowsサーバー製品の主な製品計画。今年中には、Windows Server 2003 R2が提供される予定である | ▲「Windowsサーバーの革新は次々起こる」と話す、Windowsサーバーを担当する米マイクロソフトのボブ・マグリア上級副社長 |
また、同社は、次期Windowsサーバー「Windows Server "Longhorn"」(開発コード名、いわゆるLonghorn Server)のCTP(Community Technology Preview)版を、開発者の評価用にPDC05会場で配布した。これはベータ1完成までの一歩手前に位置付けられる製品。Longhorn Serverの出荷予定は2007年だ。
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▲PDC05参加者向けに配布された「Longhorn Server」のCTP(Community Technology Preview)版 |
Windowsサーバーに関する今後3年間のアップデートは以下の通りである。
まず、今年末=2005年末には、現行のWindows Server 2003の「R2」が提供される予定だ。R2とは、現行のWindows Server 2003 SP1のアップデート。例えば「Active Directory フェデレーション サービス」機能の実装により、Webベースの認証、シングル・サインオン、Windows ServerのID管理を統合して利用できるようになる。また、詳細なストレージ管理レポート機能などを搭載する。この「R2」の機能が収録されたCDが追加で提供される予定だ。現在、Windows Server 2003 R2は既に、製品候補(RC)版が評価用に、提供されている(http://www.microsoft.com/japan/windowsserver2003/default.mspx)。
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▲「Windows Server 2003 R2」のフォーカスポイント。「Active Directory」を利用したフェデレーション(連合)機能などが特徴だ |
また、来年=2006年には「WinFX」や「Windows Server 2003 Compute Cluster Edition」、「Monad」(モナド)の初期リリースが提供される。
WinFXは、次期クライアントWindows製品である「Windows Vista」に搭載されるプログラミング・モデル(API含む)だが、Windows Server 2003やWindows 2000/XP用にも追加で提供される。WinFXの特徴は、半透明表示などDirectXをベースにした豊かな表現力を誇るグラフィックス描画機構「Windows Presentation Foundation」 (開発コード名Avalon)」や、Webサービスをターゲットにしたプログラム間通信機構「Windows Communication Foundation」(開発コード名Indigo) をサブシステムとして包含することだ。
Windows Server 2003 Compute Cluster Editionとは、従来、「同High Performance Computing(HPC)Edition」と呼ばれていた製品。64ビット版のWindows Server 2003をベースに、クラスタリングによる複数同時演算処理が効果をもたらすアプリケーション分野について高いパフォーマンスが求められる用途を想定したものである。ちなみに、冗長化構成によるハイ・アベイラビリティ(高可用性・信頼性)を目的としたものではない。
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▲「Monad」(モナド)の構造図。.NETと統合して利用される |
Monadは、マイクロソフトの新しいオブジェクトベースのコマンド・スクリプト言語だ。テキストベースのコマンドを使用してWindowsを操作できるようにするもので、UNIXのような、ネットワークベースのサーバー・データ管理などがしやすくなることを狙う。マイクロソフトでは、「今後数年かけて、MonadのコマンドのフルセットをすべてのWindowsサーバー用に提供する計画」(マグリア上級副社長)だ。
そして、再来年=2007年には、Longhorn Serverの出荷が予定されている。Longhorn Serverは、次世代Windowsサーバーとして各ターゲットに対して機能強化が図られる見込みだが、現在予定されている主な特徴としては以下の3点が挙げられる。
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▲「Longhorn Server」は2007年に出荷予定 | ▲「Longhorn Server」の各機能を構成する要素 |
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▲新しい「IIS7」を「ASP.NET」などと統合して利用する |
まず、1つ目として、大きく注目されるのが、次世代Webアプリケーションのプラットフォームとしての機能備えることだ。Longhorn Serverは、インターネットサーバー機能である「IIS(Internet Information Services)」の新バージョン「IIS7」を搭載し、従来同様、Webアプリケーションの開発・実行基盤としてサーバー側の処理結果を反映した動的なWebページを生成するASP.NETなどを利用できること。
2つ目は、MMC(Microsoft Management Console)といったツールの活用も含めた管理の容易性。
3つ目は、PCI Expressのサポートなど、新しいハードウエアや標準技術をサポートすることだ。
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▲機能強化を図った「IIS7」はデモでも大きく取り上げられた | ▲CGIのモジュールを取り除いても簡単にページの再構成ができることを示す「IIS7」のデモ |
実際、今回の基調講演では、最初の開発者向けリリースとなったIIS7のデモに多くの時間が割かれた。デモでは、CGIのモジュールを簡単に取り除いて再構成ができることや、またIISのモジュールを簡単に入れ替えることで、サーバーを再起動することもなく、即座に画面レイアウトを変更できることなどが示された(11.jpg, 12.jp)。
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▲デモでは、「写真の一覧表示の仕方を変える」という設定で、IISのモジュールを入れ替えて「Refresh」を実行 | ▲再起動することなく、写真の一覧表示レイアウトが変わった |
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▲マグリア上級副社長は講演の最後に、64ビット対応など「開発者はすぐにも次のステップに進んでほしい」と呼びかけた |
また、講演の最後には、各国から集まった大勢の開発者に対して、64ビットへの対応など、今すぐにも提供される「次のステップ」への移行が呼びかけられた。