米Airgo Networks社は2005年9月14日(米国時間),最大240Mビット/秒で通信可能な無線LANチップを発表した。すでにサンプルは出荷済み。2005年末に搭載製品が登場する見込みである。
 
 240Mビット/秒は,同社独自のMIMO(Multi-Input Multi-Output)技術と通信利用帯域の40MHzへの拡大,変調速度の高速化によって達成する。MIMOとは複数アンテナを送受信に使い,一つのチャネルで複数の信号を同時に流す技術。1本のアンテナ利用時の速度と比較して,利用するアンテナ本数分だけ速度を高速化できる。同社の従来のシステムでは2本のアンテナ,20MHzの帯域を使い,最大108Mビット/秒だった。なお,日本では20MHzまでの利用しか認められていないため,今回のチップでも20MHzの帯域幅しか使えず,最大通信速度は126Mビット/秒にとどまる。
 
 40MHzを利用するときは,電波状況に応じて利用帯域幅を動的に切り替える仕組み「ACE」(Adaptive Channel Expansion)も搭載する。帯域を占有して他のネットワークに影響を与えることを防ぐための機構だ。具体的には,パケットを送信する前に,電波状況をチェックし,40MHz(2チャンネル分)の帯域が空いている場合は40MHzを使って,20MHzしか空いてない場合は20MHzを使って通信する。
 
 「現在社内で評価中。40MHz利用時で実効速度120Mビット/秒以上,20MHz利用時で60M~70MHz程度の速度を得ている」(エアゴーネットワークスの高木映児技術本部長)という。チップの価格は非公表。「チップの統合化によって,ボードのサイズ,ボード上での信号干渉設計の簡略化によって,Airgoのチップを使った現行の製品から2割ほど安くなるのではないか」(エアゴーネットワークスのリージョナル・セールス ディレクタの古野敬典氏)という。