EMCジャパンは9月15日、ファイルサーバーに保存しているデータを一括管理し、データバックアップ/復旧を簡単にするストレージシステム「ILMサーバ・ソリューション・パッケージ」の出荷を開始した。ILMサーバは、同社製のNAS(ネットワーク・アタッチド・ストレージ)「Celerra NS500」と長期保管用ストレージ(CAS)「Centera」、ストレージ間のデータ移動を自動化するソフト「Centera FileAchiever」をパッケージ化したシステムである。

 新製品の売りは、NASとCAS、データ移動ソフトという3つの製品を組み合せたこと。企業内に散在するファイルサーバーをNASで統合しデータ管理を一括化できる。さらに、不要なデータを安価なCASに自動的に移す機能を備えるため、業務に必要なデータのバックアップ/復旧を素早く確実に行える。

 ILMサーバは日本法人独自の製品で、「3つの機能を組み合わせれば、システム管理者が共通して抱えている課題を解決できると分かったため、最初からパッケージ化して売ることにした」(EMCジャパンの宮治彦プロダクト&ソリューション・マーケティング本部 プロダクト・マーケティング部部長)という。

 同社によると、ユーザー企業のNASに保存されているデータの70%が3カ月以上使われていないという。その結果、膨大な量の不要なデータがネックとなり、バックアップ/復旧作業に時間と手間がかかっているという問題が発生している。

 この問題はストレージ業界の“常識”で、EMCを含めたストレージ各社は昨年、基幹システムのバックアップ/復旧作業を簡単にするための製品を相次いで出荷した。ところが、宮部長は「ユーザー企業の話を聞いていく中で、実運用においては基幹システムのバックアップ/復旧より、ファイルサーバーのバックアップ/復旧作業の方がシステム管理者の負担になっていることが分かった」と明かす。

 ファイルサーバーは、エンドユーザーがうっかりデータを消してしまうといったトラブルが起きやすく、システム管理者は対処に追われる。基幹システムは、壊れにくいシステムを構築する上に、バックアップやデータ保護の仕組みがしっかりしており、データ復旧を行う機会はほとんどない。そこで同社は、ファイルサーバーのバックアップ/復旧作業の軽減を目的としたILMサーバを開発した。

 ILMサーバは保存可能なデータ容量に応じて3種類の製品があり、保存可能容量はそれぞれ3TB、6TB、9TBとなっている。価格は998万円から。EMCジャパン、および販売パートナーを通じて販売する。販売目標は3年間で1000台で、「そのうち半分をパートナーに販売してもらいたい」(宮部長)とする。

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