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 「インテルの違法行為は明白。消費者は、よりリーズナブルで優れた製品を利用する機会を奪われた」。こう語るのは、米AMDのトマス・マッコイ法務担当エグゼクティブバイスプレジデント兼最高総務責任者(写真)である。AMDは今年6月27日に、インテルを独占禁止法に違反しているとして米国で提訴。続く6月30日には日本でも、インテル日本法人に対する損害賠償訴訟を起こした。

 マッコイ氏は「AMDは裁判所の力を借りなくても、優れた製品や技術を世に送り出すことで、リーダーとしての地位を確立している。なのになぜインテルを訴えるのか。それは真に自由でオープンな市場を望んでいるからだ」と指摘。その上で、「パソコン・メーカーは、インテルが価格をコントロールしている市場の犠牲者だ。結果として、消費者が選択の自由を奪われている。損害賠償の金額は問題ではない」と、業界や消費者の利益を代表して一連の訴訟を起こしたとの考えを強調した。

 マッコイ氏によれば、日本のWindowsパソコン市場におけるAMDのシェア(パソコンの出荷台数)は、2002年に26%とピークに達した。ところが、同時期に「インテルが日本のパソコン・メーカーに働きかけ、AMDのビジネスを阻害した。その後AMDのシェアは急落し、2004年末には10%にまで落ち込んだ。これは現在でも回復していない」(マッコイ氏)。

 インテルが取ったとしている“違法行為”については、「我々は証拠がなければ動かない。当社はパソコン・メーカーを始めとした業界全体の支持を得ている」と、メーカーからの証言や証拠を得ていることを示唆した。ただし具体的にどのメーカーの支持を取り付けているかについては、係争中であることなどを理由に明らかにしなかった。

 今後の見通しについてマッコイ氏は、類似した過去の訴訟を例に「米国での訴訟が決着するのは、2006年末から2007年になるだろう」と述べるにとどめた