ITサービス業界も、「構造不況業種」の仲間入りか—。上場するソリューションプロバイダのうち、3月期決算を行っている主要75社の2006年3月期第1四半期の決算は、こんな言葉も浮かぶような厳しさが続いた。売り上げでは健闘しながら、赤字企業が43%にも達したからだ。


表●株式を公開している主要ソリューションプロバイダの2006年3月期第1四半期決算
 ただし、ITサービス業界の売り上げは第2/第4四半期に集中する傾向がある。第1四半期の売上高が通期や中間期の予想に占める「売上高達成率」の割合は、中間期に対しては30~40%台、通期に対しては15~20%程度なのが普通だ([拡大表示])。景気が踊り場を脱したとの見方が強まる中、第2四半期以降のばん回次第では、ITサービス業界にも明るさが戻ってくる可能性はある。

 前年同期と売上高を比較できる72社のうち、増収企業は6割強の44社とまずまずの結果だった。しかし利益については、経常ベースで比較できる70社のうち、増益は4割弱の27社にとどまった。一方、減益企業は14社、赤字企業は実に30社に達した。販社系、SI系を問わず、好調企業、不調企業が交錯する二極化の傾向は続いている。

 4割ある減収企業で最も多い理由が、顧客の需要低迷だ。また、「利幅の低い機器販売を抑制している」(日立ソフトウェアエンジニアリング)といった構造改革の過程で、売上高を減らした企業も多かった。日立ソフトの減収幅は31.4%に達する。なお減収幅が43.3%だったCSKはベルシステム24やネクストコムが連結対象から外れたため。同19.4%だったネットワンシステムズは、前期に通信事業者の大型受注があった反動という。ただし、ネットワンは今年度下期に通信事業者の受注増を見込んでおり、通期では増収を達成できるとしている。