大手オークション・サイトの米イーベイは9月12日,無償のIP電話ソフト「Skype」を提供するルクセンブルクのスカイプ・テクノロジーズを買収すると正式に発表した。買収金額は約26億ドルで,発行済み全株式を取得する。今後の業績次第で最大15億ドルを追加で支払うとしている。

 イーベイの狙いは,コミュニケーションの円滑化による商取引の促進と,新たなビジネスの創出。まずSkypeを組み合わせることで,自社サイトにおける買い手と売り手のコミュニケーションを円滑化できる。買い手はSkypeを使って売り手と会話し,購入に必要な情報を即座に入手できる。一方,売り手も買い手とより親密な関係を築ける。中古車や産業機械など,購入前に込み入った会話が必要な商品に関しては,取引の速度が高まることも期待できる。

 新しいビジネスの展開ももくろむ。現在の取引ベースの手数料に加え,Skypeによる通話ベースの手数料というビジネスモデルもあり得るとする。その一例として,秘書サービスや旅行の手配サービスなどを挙げる。またイーベイの子会社で決済サービスなどを提供する米ペイパルの電子マネーとSkypeのアカウントを紐付けることで,ペイパルのアカウントや決済金額の増加が見込める。さらに,これまで米国が中心だったビジネスの対象を全世界に広げることが可能。Skypeを活用した新しいビジネスを展開することで,新規ユーザーや取引が増え,より大きな収益を得られる。

 スカイプ・テクノロジーズは二クラス・センストロームCEO(最高経営責任者)が2002年に設立した会社。2003年8月に初版を提供してからわずか2年の間で,全世界で約1億6300万のダウンロードを記録した。日本国内の会員数もこの4月に100万人を突破している。センストロームCEOは現在のポジションにとどまり,イーベイの上級役員会に参加するもよう。