TMFのキース・ウイレッツ会長
TMFのキース・ウイレッツ会長
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 「収益減にあえぐ世界の通信事業者はトヨタ方式を見習うべきだ」---。

 通信事業者のネットワークの運用管理を議論する業界団体「TeleManagementForum」(TMF)が9月7日から2日間,東京・品川のコクヨホールで「TekeManagement World 2005」を開催している。初日の基調講演には,TMFのキース・ウイレッツ会長が登壇し,通信事業者に“変革”を促した。

 ウイレッツ会長がトヨタ方式を持ち出したのは,トヨタ自動車が広めた生産手法「かんばん方式」を通信事業者も実践すべきという考えからだ。ウイレッツ会長は,講演ではかんばん方式と同義の「リーン方式」という言葉で説明した。製造業と同じく通信事業者も,「少ない資源で多くの成果を上げるムダのない生産方式を取り入れるべき」(ウイレット会長)と主張した。サービスごとに複数のネットワークを保有し,ネットワークごとに膨大な数のデータベースなどを用意する既存の方法は余りにも非効率というのがその理由である。

 各国の通信事業者を取り巻く環境は,非常に厳しい。ウイレッツ会長は「世界中で料金競争が繰り広げられ利益率が低下している。しかし,さらなるコスト削減,顧客サービスの向上,短期間での新サービスの投入を継続して実施できない事業者は生き残れない時代になった」と現状を分析する。「国営の通信事業者が市場を独占していたころは『高品質のものは高くて当たり前』という考えでよかった。だが新規参入事業者も多く登場し,競争が激化するなか,通信事業者も考え方を変える時が来た」(ウイレッツ会長)とした。

 TMFは運用管理用のソフトウエア検討からスタートした業界団体だが,この数年で対象をソフトウエアだけでなく,通信事業者のビジネス・プロセス全般に対象を広げている。現在,TMFは「通信業界をハイレベルのサービスを提供し利益の出る業界にする」(ウイレッツ会長)ことを目指している。ウイレッツ会長は基調講演を,「通信事業者は今後5年で変ぼうを遂げるべき」と締めた。