ソニーの「ロケーションフリー」新製品。左がベース・ステーション「LF-PK1」
ソニーの「ロケーションフリー」新製品。左がベース・ステーション「LF-PK1」
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 ソニーは9月5日,自宅で受信したテレビ放送を場所を問わず視聴できる「ロケーションフリー」製品群の新製品を発表した。10月1日から,ベース・ステーション「LF-PK1」とパソコン用ソフトウエア「LFA-PC2」を発売する。特徴は,ユーザーが所有するパソコンを使って,外出先や海外から自宅で受信中のテレビ放送やHDD(ハード・ディスク装置)レコーダの録画内容を見られること。実売予想価格はLF-PK1が3万3000円前後,LFA-PC2が2000円前後だ。

 同製品群で,パソコンを端末に利用できる製品は初。従来は専用端末とベース・ステーションのセットで利用する必要があった。

 LF-PK1はテレビ・アンテナとブロードバンド回線のゲートウエイとして接続し,LFA-PC2はパソコンにインストールして利用する。LF-PK1は,テレビ放送の映像をリアルタイムでMPEG-4形式に圧縮し,ストリーミング・サーバーとして機能。外出先の無線LANアクセス・サービスなどから,LFA-PC2をインストールしたパソコンでLF-PK1にアクセスして利用する(写真)。

 LF-PK1にはDVDプレーヤーやHDDレコーダも接続でき,インターネット経由の遠隔操作も可能。テレビ放送のチャンネル切り替えもリモート操作できるため,「あたかも自宅にいるかのようにテレビを見ることができる」(ソニー ホームエレクトロニクスネットワークカンパニーの前田悟ビデオ事業本部LFX事業室長)。

帯域の変動に応じてビットレートを変える

 新製品の技術的な特徴には,ネットワークの帯域変動に応じて転送ビットレートを変化させる「ネットワーク適応型VBR(variable bit rate)機能」がある。

 インターネットは多くのユーザーで網を共有するため,常に通信速度が変化し続けている。急激に速度が落ち込むこともあり,動画ストリーミングの転送ビットレートを高速かつ一定にしておくと映像が途切れてしまう。そこでネットワーク適応型VBR機能を利用して転送ビットレートを300k~2Mビット/秒で変化させ続けることで,映像が途切れてしまうことを防ぐ。

 もう一つの特徴は,パソコンの熟練ユーザー以外でも簡単に設定できるようにする「かんたんセットアップ」。セキュリティを保つため接続を許可するパソコンを制限する「機器認証」を必須にしているが,一般にこうした作業は前準備が面倒だ。無線LANアクセス・ポイントなども同様の機能を持つが,パソコンのMACアドレスを調べて機器の管理画面で登録する,という手順を踏む場合が多い。これはパソコン初心者にはかなりハードルが高い作業だ。新製品では,パソコンの画面上でアイコンやボタンを数回クリックするだけで設定できるようにした。

 また外出先からLF-PK1にアクセスするため,「ダイナミックDNS(domain name system)」という技術を利用している。この設定も新製品はマウス操作だけで簡単にできるようにしてある。