パナソニック ネットワークサービシズは9月5日,同社が運営するISP事業「hi-ho」の迷惑メール対策を9月20日から強化することを発表した。「ポート25ブロッキング(Outbound Port25 Blocking)」を実施して,hi-hoのメール・サーバーを経由しない場合には,hi-hoのネットワークから携帯電話(NTTドコモ・au・ボーダフォン・ツーカー)ユーザーへメールを直接送信できないようにする。hi-hoのネットワークから送信される迷惑メールの3割を占める,携帯電話ユーザーへの迷惑メールを削減することが目的。hi-hoのメール・サーバーを利用している場合には全く影響を受けない。

 迷惑メール送信者やボットネットの多くはISPのメール・サーバーを経由せずに,自前のメール・サーバーから迷惑メールを直接送信する。実際,「携帯電話ユーザーへの迷惑メールについては,ほとんどが直接送信されている」(パナソニック ネットワークサービシズ)。ISPのメール・サーバーでのフィルタリングを回避するためである。メール・サーバーでの迷惑メールの送受信制限は,hi-hoをはじめ,ほとんどのISPが実施している。

 直接送信される迷惑メールを防ぐ効果的な方法の一つが,TCPポート25番への外向きトラフィックを遮断する「ポート25ブロッキング」である。通常,メール・サーバーはTCPポート25番でアクセス(送られてくるメール)を待ち受ける。このため,迷惑メールを直接送り付けるには,迷惑メール送信者やボットネットは,送り先ユーザーのISP/企業のメール・サーバーのTCPポート25番にアクセスする必要がある。ポート25ブロッキングが実施されていれば,このアクセスが遮断されるので,迷惑メールを直接送ることはできなくなる。

 今回hi-hoが実施するのは,NTTドコモ・au・ボーダフォン・ツーカーのユーザー(メール・サーバー)だけを対象とした「ポート25ブロッキング」。これらのメール・サーバーのTCPポート25番へのアクセスを遮断する。

 「ポート25ブロッキング」の問題点の一つは,ポート25ブロッキングを実施しているISPのユーザーは,別のISPのメール・サーバーからメールを送れなくなること。しかしながら,今回のブロック対象は携帯電話事業者4社に限られるので,この問題はほとんど起きないと考えられる。「hi-hoのネットワークから携帯電話事業者のメール・サーバーへ直接アクセスすることはないので影響はない」(パナソニック ネットワークサービシズ)。別のISPのメール・サーバーへは,従来通りアクセスできる。また,hi-hoのメール・サーバーを経由させれば,今まで同様,携帯電話ユーザーへメールを送れる。

 同社では,今後も迷惑メール対策を強化する予定であるという。時期は未定だが,「SPF」などの送信ドメイン認証技術やSubmissionポートにも対応する予定である。

◎参考資料
hi-ho が,迷惑メール対策を強化~携帯電話向け迷惑メール規制を実施~