独立行政法人 産業技術総合研究所(産総研)は9月2日,ネットワークからOS本体をダウンロードして起動するLinuxの新版「HTTP-FUSE-KNOPPIX-4.0」を公開した。「LANであれば,DVDからブートするよりも速く起動する」(産総研 情報技術研究部門 主任研究員 須崎有康氏)。

 KNOPPIXは,CDから起動する,インストールの不要なLinux。ドイツのKlaus Knopper氏がDebian GNU/Linuxをベースに開発したディストリビューション。産総研が日本語化や機能の追加などを行っている。KNOPPIXを,ネットワークからOS自体をダウンロードし起動するように,産総研が改良を施したものがHTTP-FUSE KNOPPIXである。

 KNOPPIX 4.0 LinuxTagでは,より多くのアプリケーションを収録できるようCDからDVD版になった。HTTP-FUSE-KNOPPIX-4.0は,このDVD版をネットワーク・ブート対応にしたもの。必要なデータだけをダウンロードするため,「LANのようにネットワーク遅延のない環境であれば,DVDブートより高速に起動する」(須崎氏)という。CPUがPentium M 1.8GHz,メモリー2Gバイトのマシンで,DVDで起動した場合,約300秒かかったが,100Mbpsのネットワークでサーバーからダウンロードして起動した場合,約100秒と約3分の1の時間で起動した。

 クライアント側の起動プログラムのサイズは約5Mバイト。「メールに添付して送信できるOS」(須崎氏)。CD用isoイメージになっている。「5Mバイトのプログラムを起動するだけで3.8GバイトのDVDに収録されたアプリケーションがすべて使用できる」(須崎氏)。

 HTTP-FUSE-KNOPPIX-4.0は,産総研のKNOPPIXの公式サイトなどからダウンロードできる。