米インテルの商行為を巡って、同社と米AMDが舌戦を繰り広げている。インテルは9月1日(米国時間)、AMDが6月に同社を提訴したことに対する答弁書を提出。「AMDの主張は誤りであり、矛盾している」と、自社の正当性を強調した。一方、AMDもインテルの答弁書に対して、「答弁書の内容は想定の範囲内。インテルが独占的地位を乱用している事実は明白であり、否定の余地はない」と、真っ向から切り捨てた。

 インテルは答弁書の中で、「技術革新、投資、顧客重視、そして優れた製品を提供することが、当社の意思決定の要である」と主張。こうした経営姿勢自体は、「AMDも同様」と述べている。その上で、AMDが6月に起こした訴訟では、「こうした経営上の意思決定と選択を行う代わりに、自らの行為の末に直面した事業失敗の責任を、インテルに求めている」と批判した。

 さらにインテルは、「AMDの主張は法的に矛盾している」と指摘。「AMDは、より低い価格を提供するインテルを阻害することで、AMDが自社製品の価格をより高く設定できるようにしている。AMDは競争を推進しようとしているかに見えるが、実際は逆だ」とした。

 この答弁書に対して、AMDはすぐさま反応。同日付で反論の声明を発表した。「インテルの答弁書の内容は想定の範囲内であり、驚くには当たらない。インテルが自社の行為を隠そうとしているのは明らかだ」(トマス・マッコイ法務担当エグゼクティブバイスプレジデント兼最高総務責任者)。

 マッコイ氏は声明の中で、「インテルが独占的地位を乱用している事実は明白であり、否定の余地はない」と主張。日本の公正取引委員会が今年3月、インテル日本法人に出した排除勧告や、ヨーロッパ各国の独禁当局や韓国の公正取引委員会などがインテルの事業内容に関する調査を進めていることを挙げた。「インテルの違法行為によって、顧客や消費者は現在でも不当に高い価格でプロセサを購入させられており、最高の製品を入手する選択肢を不当に制限されている」と、従来からの同社の主張を展開した。

 AMDはインテルの答弁書に先立つ8月23日、デュアルコア・プロセサの性能を「公正かつオープンに」(AMD)競うため、両社のプロセサを使って中立的立場の研究所によるベンチマーク・テストを実施することを提案。ボクシングのリング上でAMDのOpteronが対戦相手を待っている様子の新聞広告を掲載するなど、インテルを挑発している。AMDは「真実を明らかにし、正当な司法の判断を仰ごうではないか」(マッコイ氏)と息巻いており、今後もインテル商法を糾弾する手を緩めそうにない。