NTTデータと富士通、日立製作所は9月1日、オープン系サーバーで動作する次世代勘定系パッケージの共同開発に着手すると発表した。主なターゲットは、メインフレームで勘定系システム動作させているメガバンクや地銀。同分野で最大規模のシェアを誇る日本IBMの顧客を中心に、リプレース攻勢をかける。

 次世代勘定系パッケージの開発について、3社は現時点で、一から新規に作るのか、それとも3社いずれかの勘定系パッケージを基にするのか、明らかにしていない。だが、本誌の取材では、NTTデータのメインフレーム向け勘定系パッケージ「BeSTA」をベースにする可能性が高い。

 NTTデータは、メインフレーム並みの信頼性を誇るオープン系システム環境「PORTOMICS」を開発中。これと次世代勘定系パッケージを組み合わせ、オープン勘定系システムを完成させたい考えだ。これに対し、日立や富士通は、次世代勘定系パッケージを、自社製ミドルウエアやシステム基盤を搭載した自社製ハードウエアで動かす構成での構築を目指す。

 3社はこれまでも、NTTデータが推進する勘定系システム事業で、協業関係にあった。特に日立は、NTTデータがBeSTAを中核に推進する地銀向け共同システム「地銀共同センター」にメインフレームを提供したり、開発に参加したりしてきた。さらに日立は、BeSTAを同社製メインフレームに搭載したシステム構成で、徳島銀行や香川銀行、北日本銀行(岩手県)から受注を得た実績もある。

 銀行の勘定系システムは、地銀でも1000万ステップを超えることが珍しくない。3社ともこれまで、単独で臨んできた勘定系パッケージの開発事業では、巨大システムの要件定義や設計、実装に手を焼き、開発遅延や予算オーバーといった、苦い経験を少なからず積み重ねてきた。そこで今回、3社共同の開発体制を取ることで、開発費用の負担を減らしながら、品質や信頼性の高い次世代のオープン勘定系システムを作り出すことを目指す。

 ただ、日立と富士通は、今回の発表とは別に、すでに推進中のオープン勘定系パッケージの開発も「継続する」(広報)としている。NTTデータも、現行のBeSTAをを使った地銀共同センターを「引き続き展開していく」としている。各社とも、メインフレームで動く勘定系システムを納入したばかりの顧客に「古い商品を売りつけられた」と文句を言われないよう、既存サービスの継続をアピールしなければならない状況にある。そうした事情もあり、3社の発表内容は、共同開発の開始時期や完成予定時期、投資額、投入する要員数、共同開発の進め方などについてまったく触れられておらず、歯切れの悪い内容にとどまっている。