サン・マイクロシステムズとNECは9月1日、ユーザーIDやパスワード、所属や職種といったアイデンティティ情報を一元管理するシステムで提携した。サンのアイデンティティ管理ソフト「Sun Java System Identity Manager」やアクセス管理ソフト「Sun Java System Access Manager」を使った、システム構築・運用サービスを、同日から提供開始した。

 提供するサービスでは、まずIdentity Managerを使って、複数のシステムが持つアイデンティティ情報を整理・標準化する。Identity Managerは、複数のアプリケーションが保有するアイデンティティ情報を対応付けたり、アカウント情報に対する変更内容を既存の各アプリケーションに反映させる、いわゆる「メタ・ディレクトリ」製品である。Identity Managerを使って、企業内に分散している各種のアイデンティティ情報を標準化し、各システムで個別メンテナンスすることなく共通的に利用できるようにする。

 その上で、一度の認証だけで利用可能な全アプリケーションへのログインを可能にする「シングル・サインオン」環境を構築する。サンの「Access Manager」やNECの認証管理ソフト「SECUREMASTER 」を利用する。

 エンドユーザーのアイデンティティ情報を適切に管理することは、個人情報保護や情報セキュリティを実践するための、大前提の一つ。本来は個人情報にアクセスしてはならない者がアクセス可能になっていたり,退社した社員のアカウントがそのまま残っていたりと、アイデンティティ情報管理の不備が、個人情報流出の原因の一つになっているからだ。個人情報保護法が4月に施行されてからも、流出事件が後を絶たない中、両社はアイデンティティ管理システムに対するニーズがより高まると判断した。

 今回の提携は、今年4月に両社が発表した、システム構築サービスに関する協業の一環。両社は今後3年間で、本サービスで100億円の売り上げを目指す。