IT部門を“破壊”し、新たな組織を創るべき――。
本誌はこう提言する。
利用部門とIT部門1500人への緊急調査で浮上したのは、
低評価に甘んじつつ、5年後も変革は望めないIT部門の実像だ。
しかし、ビジネス変化やグローバル化への対応は待ったなし。
このままでは経営が真に望むIT戦略の担い手にはなり得ない。
景気が復調しつつある今こそ、
IT部門のあり方を抜本的に再考するラストチャンスだ。

(岡部 一詩)

◆part1 イメージは「抵抗勢力」
 調査が照らす六つの真実
◆part2 IT部門を“破壊”せよ
◆part3 ビジネスとの一体化に動く


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イメージは「抵抗勢力」

利用部門1000人とIT部門500人に実施した
緊急調査から浮かび上がったのは、
意識やイメージの大きな落差だ。
IT部門を「抵抗勢力」とみなす利用部門も少なくない。

 利用部門が自社のIT部門(情報システム部門)に対して抱くイメージと、IT部門の自己評価との間には多大なギャップが存在する。本誌が実施した「IT部門に関する調査」から、こうした実態が浮かび上がった。利用部門は、IT部門が思っている以上に辛い評価を下している。

 同調査は日経BPコンサルティングの協力を得て、ユーザー企業の利用部門・IT部門1500人に実施したもの。結果から、IT部門が抱える数々の問題点が明らかになった。

「ニーズの理解度」「柔軟性」に意識の差

 IT部門と利用部門の意識の差が顕著だったのは、(1)利用部門の悩みやニーズの理解度、(2)ビジネス環境の変化に対する柔軟性、(3)仕事への基本姿勢(自発的かどうか)、の3点。(1)ではIT部門の53.8%が「理解している」と回答したのに対し、利用部門は33.6%と、20ポイントもの開きがある()。
図●IT部門の自己評価と、IT部門に対する利用部門の評価
図●IT部門の自己評価と、IT部門に対する利用部門の評価
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 (2)で「柔軟性がある」と答えたIT部門は58.7%であるのに対し、利用部門は27.1%。(3)では「自発的」と回答したIT部門は30.5%だが、利用部門は15.7%となった。

 利用部門とIT部門との意識の差は、「IT部門に抱くイメージ」にも表れている。調査では、「先導者」「パートナー」「門番」など六つの言葉の中で、自社のIT部門のイメージに最も近いものを選んでもらった。

 利用部門、IT部門ともトップは、必要なシステムを利用部門が指定した通りに準備する「仕事請負人」(利用部門が39.6%、IT部門が36.8%)だった。結果が異なるのは2位以降だ。IT部門の自己評価では、2位はIT面で事業計画の推進を支える「参謀」(26.0%)、3位はビジネスを利用部門と共に遂行する「パートナー」(16.3%)となった。

 ところが利用部門の評価では、「参謀」は4位(11.7%)、「パートナー」は5位(11.2%)に後退する。代わりに2位に付けたのは、ITに関する要求を慎重に見極める「門番」(21.6%)。3位は、ITに関して要求してもなかなか動かない「抵抗勢力」(14.8%)だった。利用部門で「門番」「抵抗勢力」を挙げたのは4割弱に達する。IT部門は合わせて2割に満たない。

 システムの安定稼働やセキュリティを担保し、過剰なIT投資を防ぐ「門番」の仕事は、IT部門にとって重要な役割の一つ。だが利用部門は、IT部門が考える以上に「慎重すぎる」と捉えている傾向が見て取れる。

 これらの結果から、「自分たちはビジネスに貢献している」と考えるIT部門と、「IT部門はビジネスへのIT活用にブレーキをかける存在」とみなす利用部門とのギャップの大きさがうかがえる。新ビジネスやサービスの創造、業務改革を主導する「先導者」については利用部門、IT部門とも最下位だった。

 利用部門に対し、「期待する役割を、IT部門はどの程度果たしているか」を100点満点で尋ねたところ、平均56点。及第点とみなせる70点からは程遠い。IT部門による自己評価は平均61点だった。


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