法人PCのWindows XPからの移行がなかなか進まない中、米マイクロソフトは2013年10月17日(日本時間)、Windows 8.1を正式公開した。「SP1」相当のバグ修正に加え、操作性を改善。セキュリティの強化など、企業のモバイル活用を促す機能も追加した。脱XPの“本命”と目される8.1での改善点と、8系への移行時の注意点を紹介する。

(井原 敏宏)


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 Windows XPからの移行を考える企業にとって、Windows 8.1が移行先の本命になりそうだ。 

 その理由は大きく三つある。

 一つは、マウスとキーボードに慣れたXPユーザーに向けた操作性の改善だ。Windows 8が登場した当初は、タッチ操作を前提とした「スタート画面」の導入などで、マウスとキーボードに慣れたXPユーザーが戸惑うのではという懸念があった。8.1ではスタート画面をスキップして、起動後に直接デスクトップ画面を表示できる設定などを追加している。

 二つめは8.1が持つ企業向けOSとしての特徴だ。8.1はタッチ操作に最適化されている。ここまでは8と同じだが、8.1ではさらに、モバイル機器に対するセキュリティや管理機能を強化。企業がBYOD(私物端末の業務利用)を推進するうえでも有利である。

 三つめは利用中のアプリケーションの互換性だ。Windows XPから8.1への移行で、アプリの互換性を不安視する必要は無い。もともとXPから7への移行と、XPから8への移行で、アプリ改修の手間はあまり変わらないが、その8と8.1は「システムの互換性をほぼ保っている」(日本マイクロソフト Windows本部 Windowsコマーシャルグループの西野道子シニアエグゼクティブプロダクトマネージャー)からである。7と8.1のアプリ移行の手間は同等と判断できる。

 8の登場から1年ほど経過し、「初期のバグも修正されている」(西野氏)と、8.1はOSとしての安定性も向上している。

 日本ヒューレット・パッカード プリンティング・パーソナルシステムズ事業統括 コマーシャルビジネス本部 モバイルビジネス部の村上信武部長は、「一部にタブレットを導入するなど、OSの移行を攻めのIT投資につなげる考え方もある。また、タッチ操作を使わなくても8には7に無いメリットがあり、8.1ではさらに便利な機能が加わった」と語る。

8.1の導入が始まった

 既に8.1の導入に踏み切る企業も登場している()。Windows 8.1を搭載したタブレットを導入することで、既存のAndroidタブレットとPCを1台に集約し、業務の効率化につなげようと考えているのが北國(ほっこく)銀行だ。

表●Windows 8.1や8の導入を決定した企業の例
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表●Windows 8.1や8の導入を決定した企業の例

 同行では営業担当者を含めた行員計約2300名に対して、米マイクロソフト(MS)のタブレットPC、Surface Proを配備する。OSはWindows 8.1 Enterprise。「2014年4月頃までに順次導入を進めていく。1台で、外出先ではタッチ操作を中心にタブレットとして使い、行内ではキーボードを使って通常のPCとして利用できる」(システム部 システム企画課 管理グループの清水尚志課長)。

 既にWindows XPから8に移行済みの企業の中にも、8.1へのアップデートを積極的に考える企業がある。東京オート システム室の河副紀一氏は「明らかに機器の管理がしやすくなるのであれば、前向きに検討したい」という。


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