業務システムでの活用事例が急増している「iPhone」や「iPad」。これらが主に消費者向けの製品であることを忘れてはならない。アップルはiPhoneやiPadに関する企業向けのサポートサービスを提供していないからだ。企業がアップル製品を利用する際の六つの課題と、正しい対処法を見ていく。

(中田 敦)


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 「当社はiPhoneやiPadに関する企業向けサポートを行っていないので、個別の取材には応じられない」。本誌の取材依頼に対し、アップル広報部はこう答えた。

 アップルのスマートフォン「iPhone」やタブレット端末「iPad」は消費者向けの製品である。アップルによる企業向けサポートは無く、アップル純正のiPhone/iPad向け運用管理ツールも存在しない。iPhoneやiPadを業務で使う企業は、この点への注意が必要だ。

 「iPhoneやiPadを活用する上で遭遇するトラブルは、成長痛のようなもの」。iPadを2000台導入したガリバーインターナショナル経営企画室の椛田泰行氏は、こう表現する。成長痛とは、成長期の子供の関節が体の成長に追いつかずに痛み出す症状をいう。業務革新にiPhoneやiPadを利用する以上、ある程度の痛みはやむを得ないというわけだ。

 ただ、そんな痛みは無いに越したことはない。アップルがすぐに方針を転換するとは考えにくいため、何らかの対策が必要だ。企業にとっての六つの課題と対処法を紹介しよう。

アップル製品を利用する際の六つの課題
アップル製品を利用する際の六つの課題
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企業向けサポートが無い
●通信事業者やパートナーを頼る

 アップルは、企業向けの電話サポート窓口を開設しているが、対象となるのはサーバーハード「Xserve」やストレージソフト「Xsan」などで、iPhoneやiPadといった消費者向け製品は対象外だ。PCに接続したiPhone/iPadの構成を管理するソフト「iPhone構成ユーティリティ」の使い方に関してのみ、1件当たり2万1000円で電話対応している。

 iPhone/iPadの企業向けサポートを提供しているのは、通信事業者や「エンタープライズパートナー」と呼ばれる代理店である。アプリケーションをインストールして納入するキッティングや、使い方に関する電話での問い合わせ、修理やバッテリー交換の受け付けなどのサービスを提供している。修理やバッテリー交換のみを扱う「正規サービスプロバイダー」もある。

 内容が充実しているのは通信事業者のサービスだ。ソフトバンクグループで企業向け事業を担当するソフトバンクテレコムは、iPhoneとiPad 3Gモデルの両方を販売しているほか、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)型MDM(モバイルデバイス管理)サービスを、1ユーザー当たり月額300円で提供している。


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