東日本大震災や今夏の節電を経て、企業の間でクラウド関連サービスの利用を検討する機運が高まっている。地震や停電への対策として、クラウドの利用が有効であると考えているからだ。
 事業継続を担うシステム基盤を選ぶ必要に迫られているユーザー企業がクラウド関連サービスを見る目は、一段と厳しくなりつつある。クラウドを支える基盤であるデータセンターに対しても、より高い信頼性を求めるようになってきた。

(福田 崇男)


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 どのようなクラウド関連サービスやベンダーが注目を集めているのか。日経BP社と日経BPコンサルティングは今年7月に実施した調査に基づき、「第3回クラウドランキング」を策定した。ベンダー270社にクラウド関連サービスに関する調査への協力を依頼した。対象としたのは七つの分野(部門)である。

 358件の有効回答の中から、利用企業にとって特に有用であると判断した41サービスと提供ベンダー23社を「ベストサービス」として認定した。各サービスを100点満点で採点し、標準化したものを「総合スコア」とした上で、全体の1~2割にあたるスコア62.5以上をベストサービスとした。

 クラウド関連の製品やサービスを扱うベンダーについてイメージ調査も実施した。7349件の有効回答に基づき、クラウドサービスを提供する企業としての認知度が高いと判断した12社を、「ベストブランド」として認定した。

 調査結果を分析すると、事業継続の仕組みを構築したいとする企業のニーズに応じてサービスを強化するベンダーの動きが見て取れる。特にクラウド基盤サービスやデータセンターの分野で全体の平均点が上がっており、サービス強化が進んでいることが分かる。

大手に地力、新顔の姿も

 今年3月に実施した第2回と比べると、上位の顔ぶれが変動した。まず、多くの大手ITベンダーが顔を出すようになった。日本IBMは、クラウド基盤サービス、プライベートクラウド構築支援サービス、汎用情報系SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の3部門でベストサービスを獲得。NTTコミュニケーションズや日立製作所も、複数の部門でベストサービスと認定された()。

図●ベストサービス
図●ベストサービス
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 一方で、サイオステクノロジーやニフティといった新顔が大手を上回る結果を残し、ベストサービスを獲得した。サービス強化の取り組みが実った形だ。

 ベストブランドについては、大きな変化は起きていない。グーグルやセールスフォース・ドットコムといった、クラウドサービスをビジネスの軸に据える企業が変わらぬ強さを発揮した。


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