2015年には2009年比で約2倍の110億ドル規模と、急成長を続ける中国のソフトウエア市場。日本のソフト会社も続々と参入したが、ここへきてようやく中国企業からの受注が増え始めている。中国企業は、欧米や中国のソフトと比べ日本製ソフトに価値を見いだした。現地企業の取材を通じ、日本製ソフトの中国市場における将来性を探る。

(宗像 誠之)


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 「日本の製造業の生産管理手法を取り入れたい」。「比較検討の結果、日本製のソフトが最も使いやすかった」。

 ERP(統合基幹業務システム)パッケージやBI(ビジネスインテリジェンス)ソフト、グループウエアなど、日本生まれのソフトを、中国のユーザー企業が導入し始めている()。

表●日本製の業務パッケージソフトを導入した中国企業および団体
表●日本製の業務パッケージソフトを導入した中国企業および団体

 中国市場で何が起きているのか。本誌は経済発展が最も著しい上海市周辺に本社を構える企業や団体を訪問。経営幹部に、日本製のソフトを採用した理由を聞いた。そこで返ってきたのが冒頭のコメントだ。

 中国で導入が進む日本製ソフトの一つが、東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)の生産管理ソフト「MCFrame」だ。製薬メーカーの張家港市華昌薬業が導入した。同社は生産管理の機能と品質を評価した。

 ウイングアークテクノロジーズのBIソフト「Dr.Sum EA」を選んだのは、アパレルメーカーの寧波博洋服飾である。競合製品と機能や価格など様々な観点で比較し、結果的に最も自社の業務に適しており使いやすいと考えたのがDr. Sum EAだった。

 中国企業の決断から浮かび上がるのは、中国市場における日本製ソフトが持つポテンシャルの高さだ。もちろん、乗り越えるべき課題は少なくない。「中国製ソフトに比べると価格が高い」(華昌薬業の王平総経理)、「中国での導入実績がほとんどなく認知度が低い」(上海世紀互聯信息系統の周宇技術総監)などだ。

日本製ソフトにもチャンス

 だが、公平に比較してもらえれば、ブランド力やシェアで先を行く欧米企業のソフトや、地の利を生かした中国製ソフトと競合しても、日本製ソフトが選ばれるチャンスは十分にある。

 伸び悩む日本市場と異なり、中国のパッケージソフト市場は急速に拡大する予測だ。米IDCの調べでは、2015年までの6年間で市場規模は2倍となり約112億ドルに拡大する見込みである。

 こうした需要を背景に、中国でも日系企業への販売を中心にしていた国内ソフト会社が、現地の中国企業を主要な顧客ターゲットに位置付け始めている。ここで紹介する四つのユーザー事例には、中国企業に日本製ソフトを売り込むために必要なヒントが詰まっている。詳細に見ていこう。


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