ハード/ソフトウエアメーカーを除く主要ITサービス会社(ソリューションプロバイダ)の2009年度業績は厳しい結果となった。売上高を伸ばした企業は2割にも満たず、全体で7.6%のマイナス成長だ。本特集は、「成長性」や「収益力」、「生産性」、平均給与、役員報酬などの面からITサービス会社の実力を分析、独自ランキングを作成した。ITサービス会社は自社のポジションを知るのに役立つだろう。ユーザー企業にとっては、パートナー企業の実態を把握する格好の材料になるはずだ。

(福田 崇男)


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 2009年度に増収増益を達成したのは、調査対象142社中11社である。減収の企業は117社、減益の企業は100社だ。

 売上高1000億円を超えたのは、1145億円5600万円で26位の日立システムアンドサービスまでである。売上高500億円以上の企業は48社だった。

 売上高1兆円を超えた企業は、NTTデータのみ。この状況は以前と変わらない。NTTデータは対前年度比0.3%増の1兆1429億4000万円だった。カード決済ネットワークサービスやコンサルティング事業、運用・保守サービス事業などが堅調に伸びた。

 これに対し、2位のキヤノンマーケティングジャパンは売上高を前年度よりも17%減らし、6866億1400万円だった。システム構築や複合機/関連サービスなどの事業が不振だったためである。

 首位のNTTデータを除く上位企業が売上高を減らすなか、13位のみずほ情報総研の成長性(売上高伸び率)が目を引く。売上高を前年度に比べ18.6%増やし、2000億円を超えた。時価会計対応ソフトや音声認識ソフトなどが、金融業界を中心に好調だった。

今期は好業績を期待

図●主なITサービス会社における5年間の売上高伸び率などの推移<br>売上高100億円以上の企業が対象。ただし2009年度の生産性のデータのみ、売上高100億円以上の上場企業と2008年度調査で売上高が150億円以上の企業を対象とした
図●主なITサービス会社における5年間の売上高伸び率などの推移
売上高100億円以上の企業が対象。ただし2009年度の生産性のデータのみ、売上高100億円以上の上場企業と2008年度調査で売上高が150億円以上の企業を対象とした
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 本調査では、「成長性(売上高伸び率)」、「収益力(売上高営業利益率)」、「生産性(1人当たり経常利益)」の三つの指標で、ITサービス会社の業績を分析した。

 成長性は、82.4%の企業がマイナスだった()。「マイナス」は07年度が25.4%、08年度が56.2%と、この3年間でITサービス業界の成長に急ブレーキがかかっている。

 収益力も低下している。09年度の収益力が「5%未満」の企業は、61.9%である。08年度が47.5%だったのに比べ、大幅に増えた。

 落ち込んでいるのは生産性も同じだ。生産性が「100万円未満」の企業は、08年度が40.0%だったのが、09年度は61.4%に増えた。

 「原因は、製造業がIT投資を2~3割削減するなど、多くの企業がIT投資を抑制したためだ。ただし今後は好転するだろう」。ドイツ証券の菊池悟シニアアナリストは述べる。


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