就職情報サイト「みんなの就職活動日記」が、国内で初めてIT業界(ネットビジネス企業を含む)に特化した就職人気ランキング調査を実施した。学生から見た自分の会社の“魅力”は、全業種・業態を対象にした就職人気ランキングだけでは分からない。2011年春卒業予定の学生に、自分の会社はどれくらいの人気があるのか。見てみよう。

(戸川 尚樹)


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図●IT業界 就職人気企業総合ランキング上位30社(有効回答者数1415人)
図●IT業界 就職人気企業総合ランキング上位30社(有効回答者数1415人)
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 今回初めての試みとなる「IT業界 就職人気企業総合ランキング」では、NTTデータが首位に立った()。2位は富士通、3位が楽天である。システムインテグレータ最大手、国産メーカー最大手、成長著しいネットビジネス大手がトップ3を占めた。

 4位以下を見ても、大手企業や著名企業が並んでいる。4位がNTTコミュニケーションズで、ヤフー(5位)、日本IBM(6位)が続く。

 クラウドコンピューティング分野で存在感を高めているグーグルは、7位につけた。これに次いで8位になったのが、野村総合研究所(NRI)である。9位がマイクロソフトで、ソフトウエアメーカーとしてはトップの評価を受けた。10位は日立製作所である。

 上位30社の顔ぶれを見ると、「売り上げ規模が大きい」「知名度が高い」「親会社が大手企業」のいずれかに該当する企業がほとんどだ。ハードウエア/ソフトウエアメーカー、システムインテグレータ、ITコンサルティング会社、ネットビジネス企業といった事業内容による人気の偏りは見られない。

 今回の調査では、総合ランキングの結果を基に、企業のタイプをいくつかに大別し、「分類別就職人気企業ランキング」もまとめている。ざっと見ると、外資系ではなく国産勢が首位を独占している。

 「独立系システムインテグレータ」では、大塚商会が首位である。「メーカー系システムインテグレータ」ではNECソフト。「金融系システムインテグレータ」で見ると、東京海上日動システムズが1位だ。「コンサルティング/総合研究所」はNRI、「ネットビジネス企業」は楽天が、それぞれ首位に立っている。

仕事の「分かりにくさ」解消に注力

 NTTデータや富士通、NTTコミュニケーションズなど総合ランキング上位企業は、自社の仕事内容を正確に伝えるため、採用活動に工夫を凝らしている。

 「IT業界=プログラミングの会社ではない」「開発や運用・保守だけでなく、プロジェクトマネジメント、コンサルティング、企画、営業など仕事内容が幅広い」「専門知識を身に付けているかどうかよりも、社会や企業に役立つ“仕組み”作りに関心を持った人材を求めている」。各社が学生に向けて発信している情報を要約すると、このようになる。

 1位になったNTTデータの寒河江(さがえ)弘信人事部長はこう述べる。「当社の仕事内容は学生にとって、分かりにくい面があり、プログラミングの会社というイメージを持っている学生は多い。システムの仕事は多岐にわたるという点を、セミナーやWebサイトなどで、きっちりと伝えるよう採用活動を進めている」。

 NTTデータは、2011年春の採用者数を今春とほぼ同じ550人を予定している。これに向けて2009年11月から2010年3月にかけて、すでにおよそ30回の就職セミナーを開催。セミナーには現役社員30人を出席させ、「学生が気軽に仕事内容について質問できる場を設けている」(寒河江部長)。これが学生から好評のようで、毎回約300人の定員がすぐに予約で埋まったという。

 NTTコミュニケーションズも、学生向けセミナーに力を入れている。事業内容が分かりにくいという“コンプレックス”からだ。「NTT東西やNTTドコモ、NTTデータと異なり、当社の事業内容はNTTグループ内でも比較的分かりにくい。このことを前提に、採用活動を進めている」。NTTコミュニケーションズの一法師(いちほうし)淳ヒューマンリソース部長は話す。


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