2010年はどんな年になるのか。企業や組織、そして個々人はIT(情報技術)に関してどう動くべきか。この年初に各自が「2010年のシナリオ」を読み、出番を確認しなければならない。その一助となることを目指し、ITにかかわる重要キーワードを日経コンピュータ編集部が50個選び、辞書の形にまとめ上げた。これらのキーワードは、「2010年」と題された芝居の背景であり、舞台装置であり、登場人物である。どのようなシナリオに仕立て、どう演じるかは、主役となる、あなたに任されている。

(本誌)


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 2010年の国内ITサービス業界は、景況感の大幅な改善が見込めないため、M&A(合併・買収)など業界再編がさらに加速しそうだ。

 業界再編の目玉になりそうなのがCSKホールディングスである。同社は2009年9月8日、資本増強を含む事業再建策を発表した。不動産証券化事業から撤退し、情報サービス業に注力する方針を打ち出した。その後、経済産業省から産業活力再生特別措置法(産業再生法)の適用対象として認定された。

 CSKホールディングスは2008年度の決算で、営業損失で1230億6600万円、当期純損失で1615億2900万円と、巨額の赤字を計上して経営難に陥っていた。赤字の大半が金融サービス事業と証券事業によるものだった。

 苦境のCSKホールディングスの増資を引き受けたのは、投資会社のACAとそのグループ企業だ。ACAグループが増資と引き換えに手に入れるCSKホールディングスの優先株と新株予約権を普通株に変更すると、株式の7割をACAグループが握ることになる。つまり、CSKの去就はACAグループの出口戦略次第である。

 CSKホールディングスは、CSKブランドを生かした形での再建を進めるとしている。しかし、ACAグループが国内外のIT企業に株式を売却する可能性もある。CSKホールディングスの2008年度の売上高は2060億円で業界14位。ACAグループへの出資会社は住友商事。仮に、住商のグループ会社である住商情報システムとCSKホールディングスが経営統合することになれば、2009年度の通期予想を単純合算した売上高は3070億円。トップ10圏内に入る規模になる()。

図●国内上位ソリューションプロバイダの再編動向
図●国内上位ソリューションプロバイダの再編動向
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 ITホールディングス(ITHD)も業界再編の鍵を握る1社だ。同社の岡本晋社長は「顧客からの信頼を勝ち取るために規模の拡大を続ける」と明言しており、M&Aへの意欲を隠さない。

 直近では、2009年11月10日、売上高614億円のソランをTOB(株式公開買い付け)により買収すると発表した。2008年度の売上高が3383億円で業界5位のITHDにソランが加わり、2009年度通期予想の単純合算で3700億円規模の企業グループが誕生した。

 ITホールディングスに限らず、M&Aを狙う企業は多い。一方、時価総額が100億円を切っている企業は買収対象に挙がりやすい。実際、カテナは今春、システムプロに吸収合併される。時価総額200億円以下まで視野を広げれば、三井情報、電通国際情報サービス、SRAホールディングス、JBCCホールディングスなども再編候補として見えてくる。

 企業買収のグローバル化も進みそうだ。予兆とも言える動きが、2009年11月に起きた。日本のITサービス企業であるSJIに、中国最大手のITサービス会社である神州数碼控股(デジタルチャイナ)ホールディングスが資本参加したのだ。デジタルチャイナグループはSJIに約36億円を出資した。デジタルチャイナは3年で2倍に成長する目標を掲げており、日本企業は今後とも有力な買収候補になる。

 逆に、海外企業の買収に積極的なのはNTTデータである。2008年度に609億円だった海外での売り上げを、2012年度には3000億円まで拡大させる予定だ。拡大の原動力は現地企業の買収である。


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