ITエンジニアが、自分のスキルレベルを初級から上級に高めると、年収は300万円アップする。年収700万円を超えると、モチベーションが一気に高まる。半数が10年後をメドに独立・起業を考えている――。約1万人を対象にした調査結果を基に、ITエンジニアの実像に迫る。

(目次 康男)


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 「プロジェクトマネジメント」のスキルレベルは3.3、年収(年齢)は643万円(37.8歳)。「ソフトウエア開発」は2.4、440万円(30.8歳)。ITエンジニア全体では2.5、552万円(34.9歳)――。日経コンピュータなどが協力しているITスキル研究フォーラムが今年6月から9月にかけて実施した「第5回ITエンジニア・スキル調査(調査概要は71ページ)」で、こうしたITエンジニアの平均像が明らかになった。

 本調査では、組み込み系を除く約1万人のITエンジニアから回答を得た。経済産業省の「平成17年 特定サービス産業実態調査」によれば、日本で情報サービス産業に属するSEやプログラマは、約34万4000人。今回の調査結果は、ITエンジニアの実態を十分反映していると考えてよいだろう。

スキルアップで就業意識が変わる

図1●スキルレベルごとに見る業界に対する満足度(IT業界に入って良かったか?)
 今回の調査でまず目立ったのは、ITエンジニアの「スキルレベル」と「業界に対する満足度」との間に明確な関係があることだ(図1)。スキルレベルは、経産省が策定した「ITスキル標準(ITSS)」に基き、システムを企画・開発・運用するために必要な知識や経験、実務能力を表した指標である。

 ITSSではスキルレベルを7段階で規定しており、最高の「7」に近づくほど、プロフェッショナルとしてのスキルを身に付けていると判断できる。今回の調査では、レベル1に達しない「未経験」を加えた8段階とし、未経験とレベル1~2を「エントリレベル(上位レベルの指導の下で職務の課題を発見・解決する)」、レベル3~4を「ミドルレベル(自らのスキルを駆使して課題を発見・解決できる)」、レベル5~7を「ハイレベル(社内外でビジネスをリードできる)」に区分している。

 この区分別に、「IT業界に入って良かったか?」という問いに対する回答を見ると、ハイレベルで「悪かった/どちらかというと悪かった」と答えたのはわずか3.5%。これが、ミドルレベルでは12.5%、エントリレベルでは24.3%に上がる。全体で見ると「良かった/どちらかというと良かった」は82.3%と高いが、満足度はエントリとハイとで大きく異なることが分かる。

 「IT業界に入って良かった」と回答したエンジニアは、その理由として「自分の専門分野を確立できる」、「何かを生み出したいという希望をかなえられる」、「毎回異なる仕事を担当できる」などを挙げた。一方、「悪かった」とした回答者は、「休暇を取得しにくい」、「スキルが高い特定の人員に負荷がかかりすぎる」、「属人的な仕事が多い」などをその理由としている。


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