世界第2位の情報化投資額を誇る日本。コンピュータが初めて稼働してから50年、日本のユーザー企業とITベンダーはともに手を携え成長を遂げてきた。ところが、ここにきて変調の兆しが表れてきた。2009年までのIT投資増加率の予測は全世界が年率5.6%なのに対し、日本はわずか1.4%。企業収益が急回復してもIT投資は増えないとの見通しだ。ITに対する学生の人気も衰えをみせている。ユーザー、ベンダーの識者による寄稿、座談会などから「日本のITを取り巻く閉塞感の打開策」を探る。

(北川 賢一、谷島 宣之、戸川 尚樹、玉置 亮太、今井 俊之)

“IT立国”ニッポンの実情
日本ソフトウエア産業の謎
座談会●ここがおかしい日本のIT
プラント・エンジニアリングに習う
IT革命 第2幕で勝負せよ
日本情報産業 最後の挑戦
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座談会●IT部門はベンダーに頼るな
CIOに必要な七つの機能
こんなCIOはいらない
新規投資予算の捻出法
これがIT人材育成法だ
日本の技術者と企業は3年損している
米国の人材育成に学ぶ
プロマネ拒否症の処方箋
ソフト工学が日本ITを救う
次世代の基盤ソフトを作り出せ
求む!「ビジネス設計書」
「IT経営」を再生する
ITの現場が考える再生策


【無料】サンプル版を差し上げます本記事は日経コンピュータ2006年1月9日号からの抜粋です。そのため図や表が一部割愛されていることをあらかじめご了承ください。本「特集」の一部分をお読みいただける【無料】サンプル版を差し上げます。お申込みはこちらでお受けしています。なお本号のご購入はバックナンバーをご利用ください。

 ヒト、モノ、カネに並び、今や企業にとって欠かせない存在となった「IT」。だが、増加する一方のシステム・トラブルや、ITを巡る訴訟、不透明なIT費用などの例を持ち出すまでもなく、日本のITは数多くの難題に直面している。こうした事態に陥っている背景に、優秀なIT人材の不足がある点も見過ごすわけにはいかない。

 情報化投資大国の米国でも、IT人材が減少している。これに強烈な危機感を抱く米国は、国家としての戦略や提言を、すでにいくつも打ち出している。インドや中国、韓国も、国を挙げて、ITエンジニアの育成や産業振興に力を注ぐ。

 日本にとって今必要なのは、「ITを取り巻く閉塞感」を生み出している課題を認識し、それを解決するためのシナリオを描き、実践することである。日本のユーザー企業やITベンダーは機能や品質の面で、優れたシステムを作る能力を備えている。問題点の所在を理解し、改革を進めれば、どの国よりも早く、課題をクリアできるはずだ。ユーザー、ベンダー、そして国が取り組むべき再生計画をここに提示する。

図1●世界の情報化投資ランキング 図2●2005~09年で見た、情報化投資額の伸び率予想
図3●新規分野への情報化投資の比率


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