生産性や品質を高めるべく現場改革に立ち上がり、成果を出し始めたベンダーが相次いでいる。背景には、コスト・ダウン圧力が強まり、個人の頑張りに頼った仕事のやり方が限界にきたことがある。各社は現場の反発を恐れず、それまでのタブーにまで踏み込んでいる。先行企業の取り組みを追った。
|

![]() |
生産性や品質を高めるべく現場改革に立ち上がり、成果を出し始めたベンダーが相次いでいる。前述のような中堅どころだけではない。NECは今年7月、「ものづくり革新ユニット」と呼ぶ、パソコンなどの生産現場で進めてきた「トヨタ生産方式」による改革を全社展開する組織を新設。「多少の生産性の悪さには目をつぶってきたソフト開発も対象にする」(片山徹 執行役員専務)。富士通も10月から、「社会基盤ソリューションビジネスグループ」のシステム開発現場で、パートナー企業を巻き込んだ改善活動を始めた。
もちろん各社とも、これまで生産性向上に取り組んでこなかったわけではない。しかし、「マネジメント層も現場も『掛け声を掛ければ誰かがやるだろう』程度にしか思っていなかった」(クオリカの北口敏生産マネジメント部長)。加えて、「ソフト開発の世界は“見える化”が難しい。個人のスキルと能力に頼るところも大きいため、定着しないと言い訳をしてきた」(FST生産技術部の高木徹部長)面もある。
それが変わったのは、強まるコスト・ダウン圧力に業績が落ち、頑張りに頼った仕事のやり方が限界にきたからだ。例えばクオリカは、2002年上期に売上高の10%に当たる4億円の赤字を計上した。「これ以上の業績悪化は許されない事態になった」(藤宮宏章社長)。
追い詰められた危機感をバネに現場を変えつつある企業には、共通点がある。現場の反発や脱落者が出ることを恐れず、タブーとされてきたところにまで踏み込んだことである。ただし、痛みを強いるだけでは現場はついてこない。上司が率先して身を削るなどの工夫も凝らしている。
続きは日経コンピュータ2005年11月14日号をお読み下さい。この号のご購入はバックナンバーをご利用ください。