実験止まりで実用化が遅れていたICタグを積極的に使いこなす企業が日本でも登場した。大手家電量販店のヨドバシカメラだ。同社は納入商品へのICタグ装着を取引先のメーカー30社に求め、来年5月から一気に本番運用する。ヨドバシ・ショックのインパクトを検証する。

(福田 崇男、田中 淳)

始動する「日本版ウォルマート」●ヨドバシカメラ、“8時間納品”実現へ
ICタグの利用が加速●売り上げ増、コスト削減につなげる
ICタグで業務改善を加速●NECパーソナルプロダクツと日立の活用術


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図●ヨドバシカメラは既存のEDIを拡張し、ICタグによる検品を実現する
 超小型のICチップとアンテナから成り、無線で情報を読み書きできるICタグ。もはやこんな説明が不要なくらい、よく知られる存在になっている。

 ところがそのICタグの利用は、ほとんど進んでいない。多くは実証実験の段階でとどまっており、実用化された例をみても、「債権書類の管理」のように企業内に閉じた特殊分野での利用が大半だ。

 一方、米国では今年に入り、ICタグの本格的な普及が始まっている。大手小売業のウォルマート・ストアーズや国防総省が、取引先であるメーカーを巻き込む形で進めている。日本には、企業をまたがる形でICタグの“先導役”を積極的に進める企業は出てこないのだろうか——。

 そんな中、忽然と立ち上がったのが大手家電量販店のヨドバシカメラだ。来年5月から、ウォルマートと同様に取引先であるメーカーの協力を仰いでICタグの活用に乗り出す。メーカーが製品をヨドバシに納入する際の検品作業を効率化するのが狙いだ。

 ヨドバシは来年の開始段階で、メーカー30社の参加を見込んでいる。企業間取引で、これほど大規模にICタグを利用するケースは日本で初めてである。実験段階を経ずに、いきなり本採用を打ち出したことで、ICタグに対する同社の“本気度”が伝わってくる。

 ヨドバシが解決すべき課題は、まだ多く残っている。ICタグの購入や取り付けの負担を強いられるメーカーの協力を得られるかも、未知数だ。それでも、ICタグの本格普及時期がすぐそこに来ているのは間違いない。


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